Windows 7/8.1は「Windows 10」の提供開始後1年間は無償でアップグレードできることが発表されました。わが家には10年前の古いWindows 7 PCがあります。無償ならWindows 10にしたいところですが、果たして古いPCで動くのか。ちょっと心配になってきました。
Windowsの次期バージョンであるWindows 10は、2015年後半に発売される予定です。先日、Windows 7やWindows 8.1を使用している個人や企業ユーザーには、Windows 10の提供開始後1年間、無償アップグレードが提供されることが発表されました。また、Windows 10のアップデートは、“デバイスのサポート期間中(the supported lifetime of the device)”“サービスとして提供(be delivered as a service)”されることも発表されています。
ただし、この1年間の無償アップグレードは、Windows 7 EnterpriseやWindows 8.1 Enterpriseのユーザーは対象外となります。これらのエディションのアップグレード権は、従来通り「Windowsソフトウエアアシュアランス」(SA)で提供されることになります。
一部のメディアでは第一報で“デバイスの寿命までアップデートされる”と翻訳され伝えられたようですが、デバイスのサポート期間のポリシーは後日に発表されることになるようです。そのポリシーがどうなるのか気になりますが、いずれにせよ、今使っているPCでWindows 10が動かないことには始まりません。
例えば、筆者が記事執筆に使っているメインのPCは、2005年夏に購入した、間もなく10年目を迎える古いデスクトップPCです。Windows Vistaが発売される1年以上前のPCで、フロントベゼルには“Designed for Microsoft Windows XP”ロゴのシールがまだ残っています(写真1)。Windows XP、64ビットWindows Vista、64ビットWindows 7とアップグレードしてきましたが、いろいろと事情があってWindows 7 Service Pack(SP)1で止まっています。
このデスクトップPCは、当時“ハイエンドワークステーション”という位置付けで、安くはない買い物でした。現在まで、CPUの換装(Pentium 4からPentium Dへ)、メモリの増強(2GBから6GBへ)、ハードディスクの交換・追加(4ディスクの合計で2.5TBほど)、DVDドライブの交換(故障のため)で中身はだいぶ変わりましたが、果たしてこのPCでWindows 10は動くのでしょうか。無償アップグレードの恩恵を受けることができるのか、とても気になります。
マイクロソフトは先日、日本語版を含む、PC向けの「Windows 10 Technical Preview」の最新ビルド「9926」を公開しました。
最新ビルドのTechnical Previewは、Windows 7 SP1、Windows 8.1 Update、およびTechnical Previewの以前のビルドからのアップグレードインストールに対応しています。今回、初めて日本語版が提供されたので、日本語版のWindows 7 SP1やWindows 8.1をアップグレードすることも可能です。
しかし、賢明な@IT読者の方なら、現在使用中の正規版Windows環境を、開発途中のWindows 10の評価用プレビュー版にアップグレードはしないでしょう。Technical Previewは「Windows Insider Program」に参加するPCのエキスパート向けに提供されるものであり、PCのエキスパートであっても日常的に使っているPC環境にインストールすべきではありません。
そこで、Windows 7 SP1からはどのような手順でアップグレードできるのか、仮想マシン環境で体験してみました。なお、この手順はWindows 10 Technical Previewビルド9926の手順であり、今後のプレビューリリースや正式リリースでは変更になる可能性があります。
今回は、Windows 7 SP1を新規インストールした仮想マシンを用意して、Windows Insider Program(https://insider.windows.com/)のサイトからアップグレードを開始しました。特別なハードウエアは存在せず、アプリケーションも追加インストールしていないため、以下の画面1〜4のようにスムーズにWindows 10 Technical Previewにアップグレードできました。
このように、Windows 7 SP1からWindows 10へのアップグレードは、Windows Updateと統合された方法で提供されることになるようです。アップグレードをキャンセルした場合は、Windowsの更新プログラム「KB2990214」をアンインストールすることで、Windows Updateを通常の状態に戻すことができました。
今回は試しませんでしたが、Windows 8.1からのアップグレードも同じようにWindows Updateと統合された方法になると思います。なお、Windows 10 Technical PreviewはISOイメージでも提供されているので、DVDまたはUSBメモリからのアップグレードも可能です。
旧バージョンまたは旧ビルドのWindowsからWindows 10 Technical Previewビルド9926にアップグレードした場合、Windowsの起動時に「オペレーティングシステムの選択」画面が一時的に表示され、オプションで「Windows Rollback」を選択できるようになっていました。今回、Windows 7 SP1からアップグレードした環境で「Windows Rollback」を実行してみたところ、無事にWindows 7 SP1の環境に戻すことができました(画面5)。
アップグレード成功後のロールバック機能は、これまでのWindowsでは提供されていなかったものです。これはWindows 10の新機能、あるいはTechnical Preview限定のサービスと早合点しそうですが、どうやらそうではないようです。以下のブログ記事では、「アップグレード中のロールバックオプションが残留するというバグ」と説明されています。
先ほど無事に戻すことができたと言いましたが、実は、タスクバーのエクスプローラーのピン留めのリンクが壊れるなどの不具合を確認しました。完全には元に戻ってはいないようです。アップグレード成功後のロールバックは、これまで通り、アップグレード前に取得しておいたバックアップからの復元か、リカバリメディアからの復元、あるいはインストールメディアからの再インストールが正規の方法です。これは、Windows Insider Programの「Before you install」ページの「If you want to go back to your previous operating system」の項で説明されています。
Windows 10 Technical Previewのシステム要件は、Windows Insider Programの「Before you install」ページの「System requirements」に記載されている通りです。ハードウエア要件としては、以下の表1の要件が記されていますが、この要件はWindows Vistaからほとんど変わっていません。現在、Windows 7が動いているPCならWindows 10が動く可能性は高いでしょう。
コンポーネント | 最小要件 |
---|---|
CPU | 1GHz以上 |
メモリ | 1GB(32ビット)または2GB(64ビット) |
ハードディスクの空き領域 | 16GB |
グラフィックスカード | Microsoft DirectX 9グラフィックスデバイス(WDDMドライバー) |
表1 Windows 10 Technical Previewのシステム要件 |
しかし、使用中のハードウエアによっては、Windows 10用のドライバーが提供されないかもしれません。Windows 7にインストールしているソフトウエアが、アップグレード後に使用できるかどうかも気になります。
Windows 10 Technical Previewのセットアッププログラムを動かせば、アップグレード前に互換性をチェックしてくれます。しかし、互換性チェックをパスした場合、意図せず、そのままアップグレードインストールに進んでしまうかもしれないのでお勧めできません。
筆者がお勧めする方法は、いま使用中のハードウエアとソフトウエアの互換性を、以下の「Windows互換性センター」にある検索機能やスキャン機能(Windows 8.1アップグレードアシスタント)で確認することです。Windows 8.1とWindows 10は互換性が高いはずなので、Windows 8.1で動くハードウエアとソフトウエアはWindows 10でも動く可能性が高いと判断できるでしょう。
アップグレードを考えている筆者のPCは、ハードウエアに関しては全てWindows 8.1と互換性があるようです。アプリケーションに関しては、互換性がないのは一つだけで、いくつかは再インストールで対応できるとの結果になりました(画面6)。
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