DRAMの延長として使えるフラッシュ装置、DSSDの実機がデビュー「新カテゴリのフラッシュ製品」

米EMCは2015年5月6日(米国時間)、ラスベガスで開催中の「EMC World 2015」で、同社が開発中のフラッシュ装置「DSSD」の実機を公開。新カテゴリの製品であることをアピールした。

» 2015年05月07日 12時40分 公開
[三木 泉@IT]

 米EMCは2015年5月6日(米国時間)、ラスベガスで開催中の「EMC World 2015」で、同社が開発中のフラッシュ装置「DSSD」について説明した。

 DSSDは、昨年のEMC Worldで、EMCが買収を発表した米DSSDが開発を進めてきた製品。現在、少数の顧客と共同検証が行われているところで、2015年中の提供開始を目指しているという。

オールフラッシュ装置と見た目は変わらないが、DRAMの延長として使うことができる

 DSSDは一見、一般的なオールフラッシュストレージ装置のように見える。だが、これは新たなカテゴリの製品だ。サーバーのCPUにPCIeバス経由で直結し、大量のNANDメモリを、事実上DRAMの延長として使えるようになる(ストレージとして使うこともできる)。DRAMほどの速度は出せないが、NANDメモリは非揮発性であるため、処理データは保護される。また、複数のサーバーが、単一のDSSDを共用できる。従って、いずれかのサーバーがダウンしたとしても、そのデータを他のサーバーが引き継ぐことができる。

DSSDの中身はどうなっているか

 DSSDは5Uサイズの装置で、ホットスワップ可能な36のフラッシュメモリモジュールを搭載する。合計容量は現在のところ144TBで、2016年には288TBに拡張する予定という。

独自設計のメモリモジュール。2つのPCIe接続インターフェイスが見える

 独自設計のフラッシュメモリモジュールは、それぞれ512のNAND素子を内蔵し、PCIe接続インターフェイスを2つ備えている。一般的なSSDと異なり、メモリモジュールにはコントローラを搭載せず、メディア管理やウエアレベリングなどの処理は、DSSDが別途搭載しているCPUボードで実行している。これにより、メモリモジュール単位ではなく、装置全体としてNANDメモリの性能を最大限に引き出し、その利用を最適化しているとする。NANDメモリへのI/Oの高度な並列化が、DSSDの高速性の大きな要因となっている。

12個のPCIeスイッチチップを搭載したボード

 DSSDはまた、独自開発のPCIeスイッチボードを搭載している。各ボードに、PCIe Gen3を64レーン接続できるPCIeスイッチチップを、12個搭載している。このPCIeスイッチを経由して、背面のポートを通じ、48台のサーバーに対し、それぞれPCIe Gen3×4レーン(片方向4Gbps)で接続する。PCIeスイッチボードは、冗長性確保のため、2枚搭載しており、各サーバーは双方と接続する。

各PCIeスイッチボードは48のサーバー接続用ポートを備える

「DRAMに近い性能の大量メモリ」

 では、DSSDは、実際にはDRAMやSSDと比べて、どれくらいの速さなのか。EMCでDSSDプレジデントを務めるビル・ムーア(Bill Moore)氏は、ベンチマークテストの結果を示した。

 下のグラフは、32KBのランダムI/Oを合計16GB実行するのに掛かった時間を計測したものだという。青がDRAMで、赤がDSSDだ。この結果を見る限り、DRAMに比べれば遅いが、ほとんど遜色のないものとなっている。

SSDに比べはるかに速く、DRAMとほとんど遜色のない速度が出ている

 このような高速性と低遅延により、インメモリデータベースやリアルタイムアナリティクスなど、大量のデータを高速に処理したいケースで、これまでには考えられなかった用途を切り開くことが可能だという。

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