加バンクーバーで2015年5月18日、OpenStack Summit Vancouver 2015が開幕した。初日の基調講演では、「連携し合う共通のクラウドプラットフォームを作り上げる」という、OpenStackプロジェクトの目標に向けて大きな進歩につながったことを強調した。
加バンクーバーで2015年5月18日、OpenStack Summit Vancouver 2015が開幕した。初日の基調講演では、OpenStackの互換性検証テストの提供開始が明らかにされるとともに、OpenStackの新リリースKiloにおける認証連携機能が、「連携し合う共通のクラウドプラットフォームを作り上げる」という、OpenStackプロジェクトの目標に向けた大きな進歩につながったことを説明した。
OpenStack Foundationのエグゼクティブ・ディレクター、ジョナサン・ブライス(Jonathan Bryce)氏は、デジタル化が各種の産業で進行していることを踏まえ、「『ソフトウエア開発者の生産性を向上する』として、Docker、Mesos、Kubernetesなど、新たなツールが次々に登場し、困惑するほどだ。だが、こうしたツールに対してもグローバルにアクセスできるような、共通の基盤を作り上げることが、OpenStackのビジョンだった」と述べた。そしてこのビジョンに向けた重要な成果が、OpenStack製品の互換性検証テストの提供開始だと話した。「OpenStack Powered」と呼ぶことを認められたプラットフォーム製品は、共通のコア機能を備え、共通のAPIでその機能を利用できる。
複数のOpenStackプラットフォームを併用してビジネスを展開している例として、ポストプロダクション企業、Digital Film TreeのCTO、ギローム・オーブション(Guillaume Aubuchon)氏が登場した。オーブション氏は、同社が編集を担当して制作中のTVコメディドラマ「UnREAL」は、OpenStackなしには実現できなかったと説明した。
44分の番組1本を制作するために、21万6000分に相当する撮影がなされる。番組製作とは、一面では素材を短縮していく過程だという。毎日午前中にバンクーバーで4Kカメラを使って撮影。素材をロサンゼルスに送って荒編集を行い、これを制作担当者が確認・指示することを繰り返している。大量のデータが、撮影地と、編集スタジオとの間を行ったり来たりする。
Digital Film Treeでは、実験的な取り組みとして、バンクーバーとロサンゼルスにプライベートなOpenStackプラットフォームを構築、さらに、パブリッククラウドサービスのHP Public CloudとプライベートクラウドホスティングサービスのBlueBoxを併用。この2つのサービスを、ニーズに応じて自動的に拡張されるような形で利用しているという。
Digital Film Treeは、複数のOpenStackプラットフォームへのシングルサインオンを行っている。これは、4月30日に提供開始のOpenStack Kiloリリースにおける新機能だ。OpenStackには認証機能を開発するKeystoneというサブプロジェクトがあるが、このKeystoneで新たに加わったのが、認証連携機能。Keystoneは、他のKeystoneに対し、認証連携プロバイダーになれる。つまり、あるOpenStackにおける認証を、他のOpenStackプラットフォームに適用できるようになった。
ブライス氏は、「さらに素晴らしいことに、OpenStack製品カタログ中の30の製品・サービスが、認証連携のサポートを約束している」と話した。
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