本連載で紹介した「直交表」については、第二回で基本的な考え方と組み合わせ生成ツールを解説しています。
Ans.
直交表には因子数や水準数、強さ、そしてサイズの異なるものがいろいろとあります。実は、直交表を専門に研究している人たちは、「なるべく小さなサイズで、なるべく大きな因子と水準を見つけること」に腐心していたりします。
例えば、筆者が見つけたものの中では「『20因子』『3水準』『強さ3』で『大きさ243』の直交表」や、「『16水準7個』『8水準12個』『4水準20個』『2水準6個』で『強さ2』の『大きさ256』の直交表」などがあります。
本連載では一つの例として、第二回で4因子2水準で「強さ3」の直交表を紹介しています。
No.1 | No.2 | No.3 | No.4 | No.5 | No.6 | No.7 | No.8 | |
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因子1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 |
因子2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 |
因子3 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 |
因子4 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 |
職人技に依存したテストは、ときに高い品質を得られることがあります。一方で、ともすると経験則のみに依存してしまい、品質レベルを保証するのが難しいという問題もはらんでいます。職人技とツールのバランスについては、第三回、第四回を通読してみましょう。双方のバランスを取るために意識すべき事柄を紹介しています。
Ans.
これらのツールは因子や水準、禁則を発見し、強さを決めれば、自動的にテストケースを生成してくれますが、因子や水準の発見の妥当性がないとテストの意味がありません。ツールは「銀の弾丸」ではありませんが、便利な道具です。道具に振り回されず、道具を使いこなすようにしてください。
最終回の今回は、連載を通じて紹介してきた「組み合わせテストの品質を科学的に保証する手法」とその判断指針のエッセンスを、FAQ形式でまとめてみました。連載を通読してもよいですし、実践する中で何かにつまずいたら、このFAQをたどって必要な情報を再確認してみてもいいでしょう。
皆さんが開発・テスト工程で、より効率よく品質を高められるようになることを期待いたします。
OKI(沖電気工業) シニアスペシャリスト、エバンジェリスト。博士(工学)。
ソフトウエアの開発支援・教育に従事。電子情報振興協会(JEITA)専門委員会の委員長や情報処理振興機構(IPA/SEC)などの委員多数。三重大学などの非常勤講師も務める。エンタープライズ系と組み込み系におけるソフトウエア開発の知見融合が関心事。
共著書に『定量的品質予測のススメ』(オーム社、2008年)、『プログラミング言語論』(コロナ社、2008年)などがある。
今回は連載の総集編として、ここまでで解説してきたポイントをFAQ形式でまとめてみました。本稿を、ソフトウエアテストで「考え過ぎた」ときに、リファレンスとして使ってみてください。詳細を確認したい場合は連載各回の解説を確認してみましょう。
組み合わせテスト実施時の判断のコツは分かったけれど、どのくらいの「強さ」で、どの手法を組み合わせればいい? 筆者の経験から、判断基準やテストのPDCAにおける「トレードオフ」の正しい悩み方、賢い対策の考え方を紹介します。
オールペア法や直交表は組み合わせテストの品質を一定に保ち、テストケースを合理的に削減できる利点を持ちます。しかし、ツールでやみくもにテストケースを削減してはいけません。そこには勘も経験則もコツも必要です。筆者がコツを伝授します。
あらゆる条件を網羅したテストを実行することは現実的ではありません。しかし、職人技と勘、あるいは闇雲にテストツールに頼っても、科学的に品質を保証できません。最小のコストで品質を保証するための手法と、その考え方、制約がどのようなものかをじっくり見ていきましょう。
手法やツールだけでなく、そもそもテストとは何か、トレードオフを適切に判断するために必要な知識は何かをじっくり考えてみましょう。
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