デル、NexentaStorベースのストレージアプライアンスを国内で本格展開「ソフトだからこそハードウエアベンダーが必要」

デルは2015年8月4日、ZFSを起源とするオープンソースベースのストレージソフトウエア「NexentaStor(ネクセンタストア)」を「Dell PowerEdge」の第13世代サーバーと組み合わせた「Dell-Nexentaストレージ・アプライアンス NDシリーズ(NDシリーズ)」を販売開始したと発表した。

» 2015年08月05日 11時31分 公開
[三木 泉@IT]

 デルは2015年8月4日、ZFSを起源とするオープンソースベースのストレージソフトウエア「NexentaStor(ネクセンタストア)」を「Dell PowerEdge」の第13世代サーバーと組み合わせた「Dell-Nexentaストレージ・アプライアンス NDシリーズ(NDシリーズ)」を販売開始したと発表した。

 デルは2014年8月より、NexentaStorを、ネクセンタ・システムズ国内ディストリビューターであるアセンテックとの協力で国内販売してきた。デルは、今回の新製品発表とともに、3社の協業関係を発展させ、「OEMに近い形」(デル 執行役員 エンタープライズ・ソリューションズ統括本部長 町田栄作氏)で、プリセールスから保守までの全プロセスに関わり、前面に立って顧客に対応する。

 NexentaStorはZFSファイルシステムをベースとした、オープンソースの「スケールアップ型」ストレージソフトウエア。「スケールアップ型」の意味は、次のような点にある。

 NexentaStorはソフトウエアのストレージ製品だが、オブジェクトストレージのようにシンプルな仕組みでコントローラ機能を分散化したものではなく、あるいはコントローラを負荷に合わせて追加することで容量とパフォーマンスの同時拡張を図るものではない。NexentaStor では、2台のサーバーをコントローラとして冗長構成で利用し、サーバーに接続したJBOD(ストレージシェルフ)にデータを格納する。2台のコントローラはActive-Activeで動かせるが、これ以上増やすことはできない。それでも、データ量については1システムで約2PBまで対応できるという。ネクセンタシステムズジャパン 日本法人代表の松浦淳氏は、DRAMを大量に積む、SSDを活用するなどで、ヘビーユースにも対応できると話している。大規模OpenStack環境などでは、OpenStack側で複数のNexentaStorシステムを束ねて使ことになる。

NexentaStorは、Data ONTAP 7 modeと同等の機能を備えていると松浦氏はいう

 松浦氏は逆に、DRAMや記憶媒体の選択など、ハードウエア構成によって、様々な用途に対応できるのが、NexentaStorの重要な特色だとする。NexentaStorはブロックストレージプロトコル(iSCSI、ファイバチャネル)、ファイルストレージプロトコル(NFS、CIFS、SMB)に幅広く対応しており、シンプロビジョニング機能、インラインの圧縮/重複排除機能、無制限のスナップショット/クローン機能、非同期レプリケーション機能などを備え、データ管理については「ネットアップのData ONTAP 7 modeとほぼ同等」(松浦氏)と主張する。

NexentaStorに関するデルの役割とは

 では、様々な用途に対応できるというNexentaStorを、デルはどういったニーズを持つ組織に販売しようとしているのか。デルはソフトウエアストレージ製品だけでも、NexentaStorのほかに、Caringo、Cephを国内展開している。関連して、VMware EVO:RAILおよびNutanixのOEMとして、ハイパーコンバージド製品を提供している。

あえて同一用途に複数の製品を投入し、顧客にとっての選択肢を広げるというのが、デルの以前からのスタンスだ

 デルの町田氏は、これらの製品にDell EqualLogicなどのハードウエア製品を加え、用途がオーバーラップする複数の選択肢を提供するのが、デルのいうオープンだと改めて強調する。その上で、仮想化環境に関しては事実上、EVO RAILあるいはNutanixが主流になるだろうとする。OpenStackではCephがあるが、GMOインターネットがオープンソース版のOpenStackにNexentaStorを組み合わせてクラウドサービスを提供しているように、選択は分かれるだろうと話す。NexentaStorが特にはまりやすい用途は、ファイルストレージやアーカイブだという。

 「ソフトウエアストレージでは、ハードウエアベンダーの役割が特に重要」と町田氏は強調する。ハードウエアとの組み合わせで十分な検証を行えるプレイヤーが必要だ。また、ソフトウエアストレージでは、ハードウエアをどのように構成すればいいかが分かりにくい。各顧客のニーズに適合するハードウエア構成を、誰かが責任を持って提案できなければならない。また、NexentaStorのようなオープンソースベースのソフトウエアは、エンジニアリングリソースを社内に潤沢に持つわけではない一般企業には構築、運用が難しい。導入後のサポートについても、サーバーと併せて一括で頼れるようなベンダーが必要だという。

 デルでは2015年8月下旬、デルの東日本支社に、「NDシリーズ」のデモンストレーション、検証・接続性などのテスト環境「Dell-Nexenta ND検証センター」を開設する。NDシリーズでは、物理容量44TBから960TBまで、6種のリファレンスモデルを用意しているが、検証センターを活用して、個々の顧客ニーズに合った構成をつくっていくという。

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