ここまでで見てきたように、vCloud AirはvSphere環境を使っている方にとって、使いやすいパブリッククラウドになっています。ここからは、vSphere+vCloud Airによるハイブリッドクラウドがどのようなコンポーネントで構成されているのかを見ていきましょう。
vCloud Airによるハイブリッドクラウドでは四つの主要コンポーネントとして「(1)コンピュートリソース」「(2)クラウドネットワーク」「(3)コンテンツ同期」「(4)マネジメントレイヤー」があります。ここからは、各コンポーネントを紹介していきます。
オンプレミスとvCloud Airのコンピュートリソースは、アーキテクチャの根幹を支えるコンポーネントです。この部分にハイブリッドクラウドの全ての仮想マシンが含まれています。
オンプレミスのリソースはvSphereで、パブリッククラウドのリソースはvCloud Airで提供されています。vCloud Airのリソースはサブスクリプションベースで必要に応じてリソースを増減できます。
クラウドネットワークは、オンプレミスとクラウドを接続し、ヴイエムウェアが提唱する「One Cloud」を実現する重要なコンポーネントです。もちろんインターネットへの直接接続が可能ですが、セキュリティを強化したい場合は、VPN(Virtual Private Network)またはDirect Connectの接続も可能です。
第五回の記事で紹介しましたが、オンプレミスとvCloud Airをつなぐゲートウエイ間にVPNトンネルを張ることもできます。オンプレミス側でNSXを利用したゲートウエイを選択することも可能ですし、ハードウエアVPNルーターも利用可能です。
コンテンツ同期には「vCloud Connector(以降、vCC)」が利用されます。vCCはオンプレミスとvCloud Airにクラウドネットワークを利用し、二つの環境をOne Cloudにするためのコンポーネントです。vCCはテンプレートなどのコンテンツの同期と仮想マシンの移行をコーディネートしています。
ハイブリッドクラウドの最後のコンポーネントはマネジメントレイヤーです。
vCloud AirのポータルサイトにログインすればvCloud Airを管理できますが、「vCloud Airプラグイン」を利用すれば、使い慣れた「vSphere Web Client」や「vSphere Client」のインターフェースでvCloud Airのリソースをオンプレミスと同じように表示でき、ハイブリッドクラウド全体を統合的に管理できるようになります。
さらなる運用管理機能を拡充するには「vRealize Operations」も利用できます。「vRealize Operations Manager」ではオンプレミスとvCloud Airのパフォーマンスや健全性を管理でき、「vRealize Automation」ではタスクを自動化したり、ハイブリッドクラウド全体での標準構成を展開したりすることができます。
ここまではvSphere+vCloud Airによるハイブリッドクラウドの概要を紹介しました。ここからは、具体的なvSphere+vCloud Airによるハイブリッドクラウドの操作を見ていきましょう。今回は図2で示す環境を前提に、次の3ステップのシナリオで作業を進めます。
まず、vCCのダウンロードサイト(http://www.vmware.com/go/downloadvcc)より「vCC Server」と「vCC Node」の仮想アプライアンスをダウンロードします。次にvSphere ClientもしくはvSphere web Clientより「vCC Server」と「vCC Node」を展開します(図3)。
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