vCloud Airのネットワークはどう設定する? まずは、オンプレミス環境との接続方法を確認しよう。
本連載では、ヴイエムウェアが提供するパブリッククラウドサービス「VMware vCloud Air」(以降、vCloud Air)をどのように利用できるのか、実際の設定手順などを含め各テーマで検証しています。
第一回ではvCloud Airの全容、第二回では、「vCloud Air Disaster Recovery」の利用方法や注意点、第三回、第四回では、vCloud Air環境に仮想マシンを展開する手順を見てきました。
今回からは二回にわたり、vCloud Airを利用する上で欠かすことができないネットワーク構築について、具体的な例を挙げて紹介します。今回は、VPN機能を使用してオンプレミスからvCloud Airに接続する手順を、次回はvCloud Airの内部ネットワークで負荷分散を設定してオンプレミス環境から接続する手順を見ていきます。
vCloud Airのネットワークはコンポーネントで構成されており、ネットワークリソースはサービスメニューによって異なります(図1)。
専用回線を利用する場合などはDirect Connectサービスが用意されており、利用するサービスメニューによって帯域幅が異なります。専有型クラウド(Dedicated Cloud)は10Gbps、共有型クラウド(Virtual Private Cloud)または災害対策(Disaster Recovery)は1Gbpsです。現在、日本のDirect Connect データセンターはソフトバンクモバイルで管理されています。
サービスの詳細はヴイエムウェアのWebサイトを参照してください。
vCloud Airで利用できる主なネットワークコンポーネントは図2の通りです。以下では各コンポーネントを簡単に紹介していきます。
Edgeゲートウエイ(以降、ゲートウエイ)は内部と外部のネットワーク通信を管理するだけでなく、内部間のネットワーク通信も管理できます。初期設定ではゲートウエイを通過する全ての通信がファイアウォールでブロックされているため、ユーザーが個別に設定する必要があります。
ゲートウエイ1台で最大10のネットワークインターフェースを作成できますが、そのうちの一つはインターネット接続に使用するため、vCloud Air内では最大で9つのネットワーク接続が可能です。
ゲートウエイではスタティックルーティングもサポートしています(初期設定では無効)。この機能を利用すると、ゲートウエイとネットワークインターフェースとの間のスタティックルートを定義できます。
その他、ゲートウエイは下記のサービスを提供できます。
実際のゲートウエイは、2台の仮想アプライアンスで構成されており、ネットワークサービスのレベルで、アクティブ-スタンバイとなっています。そのため、物理障害時にも10秒程度で切り替えることができます。
vCloud Air内部のネットワークのうち、ゲートウエイに接続されているネットワークを、「経路指定ネットワーク」と呼びます。ゲートウエイは経路指定ネットワークに接続されている仮想マシンに対して全てのサービスを提供するので、ゲートウエイを経由して外部ネットワークにも接続できます。
反対に、ゲートウエイにつながっていないvCloud Air内部のネットワークを「隔離ネットワーク」と呼びます。隔離ネットワークに接続されている仮想マシンはインターネットにアクセスすることはできません。
内部ネットワークで使用できるIP割り当て方法は、静的IPとDHCP、IPプールの3種類があります。IPプールは、仮想マシンのカスタマイズの際に定義したIPプールから固定IPを自動で割り振る方法です。
vCloud Airでは、ゲートウエイに届いたリクエストを指定した仮想マシンに振り分ける負荷分散の機能が利用できます。振り分ける仮想マシンは、「サーバープール」と呼ばれる仮想マシンのグループで指定します。サーバープールは複数作成することができ、サーバープールごとに負荷分散方法を設定することができます。サーバープールの作成や設定はゲートウエイの設定画面から行います。
負荷分散の方法には以下の4種類があります。
ゲートウエイの「サイトツーサイトIPsec VPN機能」を使用すると、オンプレミスとvCloud Airのネットワークをセキュアに接続することができます。vCloud AirのIPsec VPNは以下をサポートしています。
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