Expressは次の三つのエディションで構成されている。
エディション | 用途 |
---|---|
Express for Windows Desktop | Windowsフォーム/コンソール/WPFアプリ開発 |
Express for Web | Webアプリ開発 |
Express for Windows 10 | Windows 10のUWP開発 |
Expressのエディション構成 |
Express for Windows 10に関しては気にしておくべき点がいくつかある。
まず、表にも示したようにこれはWindows 10のUWPアプリ開発専用バージョンであるということだ。つまり、Windows 8.xのストアアプリの開発には使えない。それらを開発するのであれば、それが可能なバージョンのVSが必要になる。例えば、Windows 8のストアアプリであれば、VS 2012が必要になるし、Windows 8.1のストアアプリであればVS 2013かVS 2015でもCommunity以上のエディションが必要になる。
なお、各種のWindows OSでVS 2015の各エディションを使用した場合に開発可能なデスクトップアプリの種類については「Visual Studio 2015 の互換性」ページを参照してほしい。
次に、VS 2015をサポートするOSは基本的にWindows 7 SP1/8/8.1/10、Windows Server 2008 R2 SP1/2012/2012 R2となっている。だが、Express for Windows 10をサポートするOSはWindows 10だけとなっている点にも注意しよう。UWPアプリ開発専用バージョンなので当たり前といえば当たり前かもしれないが、それ以外のOSで試しに使ってみようとしてもインストールの時点ではねられてしまう。
また、筆者の環境ではExpress for Windows 10のインストール時にはWindows10モバイルエミュレーターがインストールされなかった(Express for Windows 10では、実機でのデバッグがメインに考えられているものと思われる)。ただし、[デバッグ実行]ボタンの右側に表示されるドロップダウンから[新しいエミュレーターをダウンロード]を選択することで、エミュレーターをダウンロードすることは可能だ。
なお、筆者がExpressの三つのエディションとCommunityが共存する環境を「何度か構築してみた」ところ、以下のような状況が発生したので書き添えておこう。
VS 2015の他のエディションのインストール具合にもよると思われるが、多くのエディションを共存させている環境だと、Express for Web/Windows 10の[新しいプロジェクト]ダイアログに通常は表示されないプロジェクトテンプレートが表示されてしまうことがあるようだ(ビルドできるものもあれば、上述のようにプロジェクトを開くことがそもそも不可能なものもあった)。
Communityがインストールされている環境にExpressをさらにインストールするのもあまり考えられることではないが(Expressの機能をCommunityが内包しているため)、諸般の事情でそのようなことを考えている場合には注意しておきたい(VS 2015のアップデートとともに解消されることだとは思う)。また、以下の脚注*2に記したようなこともあったので、同一のPCにあまりに多くのエディションをインストールするのは、本稿執筆時点(2015年8月)ではあまりお勧めしない。
*2 実際にはExpressの三つのエディションを共存させただけでも、筆者の環境では[新しいプロジェクト]ダイアログにVisual C++のプロジェクトテンプレートの代わりにゴミのようなものが表示された(ただし、プロジェクトテンプレート関連の初期化が失敗している可能性も考えられるので、全ての環境でそうなるかは不明だ)。
いろいろとあったが、まとめると以下のようになる。
自分のニーズや組織の条件などに照らし合わせて、適切なエディションを選択するようにしよう。また、Expressを使用する場合には、現段階ではあまり多くのエディションと共存させないことが好ましい。
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