HGSTジャパン エンタープライズ営業部 システムエンジニア 大黒義裕氏は「データベースのI/Oボトルネックを解消!! 〜HGSTの最新NVMe SSDソリューション〜」と題した講演で、同社のNVMe準拠PCIeフラッシュストレージ製品がもたらすデータベース高速化の効果を紹介した。
NVMe(NVM Express、Non-Volatile Memory Express)はストレージを接続するための通信プロトコルで、HDDを前提としていたSCSIやSATA向けのプロトコルとは異なり、フラッシュストレージの高速I/O性能をフルに発揮することを前提に設計されている。
PCIe(PCI-express)バスを介してサーバーに接続するフラッシュストレージは、これまで専用ドライバーが必要な拡張カード型しかなかったが、NVMeという標準規格の登場でその用途や可能性が一気に広がっている。過去二回開催した「DB高速化道場」でも、NVMeに対応した製品ラインアップを紹介している*。
「OSが標準で備えるドライバーで対応できるようになった他、拡張カード型だけでなく、ホットスワップが可能な2.5インチドライブ型の製品も出てきた。既に多くのストレージベンダーがNVMe製品を提供し始めており、メジャーなサーバーベンダーがサポートを表明していることから、今後大きく伸びることが予想されている」(大黒氏)
HGSTでも、このNVMe規格に準拠したPCIeフラッシュストレージ「Ultrastar SN100シリーズ」を提供している。
エンタープライズ用途においては可用性要件が欠かせないが、ネットワーク越しのレプリケーションを行うとネットワークがボトルネックになり、せっかくのフラッシュストレージの性能が発揮できないケースもある。HGST製品では、PCIeフラッシュストレージ間で高速にデータをやりとりできるRDMA(Remote Direct Memory Access)により、高可用性と高性能の両立を実現できるという。RDMAは、文字通り、リモートでダイレクトメモリアクセスを行う技術。OSなどの仲介なくネットワーク経由でメモリプールにアクセスできる。
同社では既に、こうした技術を使った大規模なエンタープライズストレージ環境を構築した実績を持つ他、将来的には現在標準化作業が進められている「NVMe over Fabric」という、RDMAによる低遅延ネットワークを利用したネットワークプロトコルにも対応する予定だという。
本稿では、PCIe接続型フラッシュストレージ二つのセッションを紹介した。先に紹介したアレイ型製品*との違いは、サーバー直下にPCIeバス経由で配置できることだ。サーバー配下に配置されているため、従来は接続しているサーバーを経由しないとアクセスできないなどのデメリットを持っていたが、現在ではプール化して安全にアクセスするソリューションが登場している。また、アプリケーションごとの最適化やデータ格納の信頼性を独自に高めているものもある。
* アレイ型については「データベース高速化のいま(3)」で紹介している。
「新しい標準規格か、専用ドライバーか」「実績か、先進機能か」などの選択肢が豊富になってきている印象だ。次回は、ハイエンド垂直統合型システムのチューニングを手掛けるエンジニアが語るデータベース高速化の原則を紹介する。
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