ヴイエムウェアとEMCがクラウドサービスで合弁会社設立へ新会社名は「Virtustream」

米EMCと米ヴイエムウェアは2015年10月20日(米国時間)、クラウドサービスを提供する合弁会社を設立すると発表した。新会社はVirtustreamの名を冠するが、これがvCloud Airのフェードアウトを意味するとは考えにくい。

» 2015年10月21日 08時37分 公開
[三木 泉@IT]

 米EMCと米ヴイエムウェアは2015年10月20日(米国時間)、クラウドサービスを提供する合弁会社を設立すると発表した。新会社は「Virtustream」の名で、両社の折半出資により設立。新会社は、会計的にはヴイエムウェアの業績に算入されるという。

 合弁会社の「Virtustream」という名は、2015年7月にEMCが買収した、ユニークなクラウド管理ソフトウエア/IaaS事業者の社名から来ている。合弁会社のCEOも、元Virtustreamのロドニー・ロジャーズ(Rodney Rogers)氏が務める。

 新会社はヴイエムウェアのvCloud Air、VCEのクラウド管理サービス、VirtustreamのIaaSサービス、EMCのストレージサービスなどを統合し、企業向けのクラウドサービスを展開する。2016年に数億ドルの売り上げをもたらす見通しで、数年後には数十億ドルに拡大する可能性があると、プレスリリースでは述べている。

 こうした表面的な発表の内容からすると、EMCが買収したVirtustreamのIaaSサービスが、EMC/ヴイエムウェア、そして将来のデルのクラウドサービスの中心となるような印象を受ける。だが、筆者が「デルがEMCを買収で株式を非公開化へ、その背景と今後の展開は」という記事で書いたように、「Virtustreamのサービスは、vCloud Airよりもかなりニッチ的だ。従来型の企業アプリケーションで、しかも基幹系および複雑なアプリケーションの運用に注力している。また、そのビジネス手法は、システムインテグレーション的な色彩が強い。『新しいアプリケーション』への適用は、現在のところ考えにくい」。

 新会社はVirtustreamのIaaSサービスを今後のクラウドサービスの中核に据えるというよりも、そのハイブリッドクラウド管理/クラウドセキュリティ/コンプライアンス管理ソフトウエア「xStream Cloud Management」を活用し、これを、一般企業によるハイブリッドクラウド運用のためのインターフェース/ブランドとして押し出してくるのではないか。つまり、vCloud AirがVirtustreamのサービスに取って代わられるというわけではなく、基盤的なクラウドサービスとして、今後も機能を拡充してくるのではないだろうか。

 一方で、「xStream Cloud Management」はVMware ESXに加え、KVMにも対応している。このソフトウエアを通じ、EMCが別途続けてきたOpenStack関連の動きとの連携を図ろうとしているのではないだろうか。つまり、Virtustreamのソフトウエアで、VMware vSphere/vCloud Airの世界と、KVM/OpenStackの世界をつなごうとしている可能性がある。

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