Isilonで、仮想アプライアンス版とクラウド拡張を発表IsilonSD EdgeとCloudPools

EMCジャパンは11月16日、ファイルストレージ製品「EMC Isilon」で、無償試用も可能な仮想アプライアンス版製品「IsilonSD Edge」、およびパブリッククラウドのストレージサービスの容量を活用できるソフトウエア「Isilon CloudPools」を発表した。いずれも2016年第1四半期に提供開始予定。

» 2015年11月16日 18時29分 公開
[三木 泉@IT]

 EMCジャパンは11月16日、ファイルストレージ製品「EMC Isilon」で、無償試用も可能な仮想アプライアンス版製品「IsilonSD Edge」、およびパブリッククラウドのストレージサービスの容量を活用できるソフトウエア「Isilon CloudPools」を発表した。いずれも2016年第1四半期に提供開始予定。

Isilonを仮想アプライアンス化した「IsilonSD Edge」

 IsilonSD Edgeは、IsilonのOSであるOneFSをハードウエアから切り離し、仮想アプライアンスとして提供する製品。本番でない利用は無償で、本番利用ではクラスタ単位(仮想インスタンスのセット数)に基づくライセンスとなる(容量に応じた課金はない)。コミュニティサイトでのサポートも提供するという。なお、IsilonSD Edgeの無償利用に、他の前提条件はない。従来型のハードウエア版Isilonを使っていないユーザー組織でも、利用できる。

Isilon Edge

 IsilonSD Edgeは、VMware ESXi上で仮想マシンとして動作し、vCenterプラグインで管理可能。OneFSの全機能を使え、アクセスプロトコルについてもSMB、NFS、HDFS、SwiftなどIsilonと同一。従来型のIsilonの容量は機種によっては50PBまで拡張できるが、IsilonSD Edgeは36TBまで拡張可能。Isilonの構造から、最低3台の物理サーバーが必要となる。

 EMCは、従来型のハードウエア版Isilonをコアとして本社などで動かし、新製品をエッジとして、遠隔地の拠点で動作させることを想定している。IsilonSD Edgeは、Isilonとの双方向のレプリケーションが可能(IsilonSD Edge同士のレプリケーションもできる)。ディザスタリカバリにも活用できるという。なお、コアとエッジで単一ネームスペースを構成することはできない(注:ファイルストレージででデータの整合性を完全維持した分散構成を実現しているベンダーはない)。

 新製品の具体的な価格は未発表だが、「かなり安いものになる」と、米EMC エマージングテクノロジー事業部門 シニアバイズプレジデントのフィル・バリンジャー(Phil Bullinger)氏はいう。理由は、IsilonSD Edgeの利用が進めば、コアとして利用される「(ハードウェア版)Isilon」にレプリケーションでさらにデータが集まり、こちらの追加購入需要が促進されるからという。

パブリッククラウドをストレージ容量として使える「CloudPools」

 CloudPoolsは、Isilonの容量を、パブリッククラウドおよび、EMCのオブジェクトストレージ「EMC Elastic Cloud Storage」あるいは別のIsilonへ拡張できるソフトウエア。Isilonのアドオンソフトウエアとして提供される。

 Isilonからは、パブリッククラウドのストレージサービスなどが、ローカルに装着された追加記憶装置のように見え、ローカルのIsilonとクラウドサービス上のデータを、単一ネームスペースで管理できる。また、OneFSの機能すべてを、ローカル、クラウドの全データに対して実行できる。

Cloud Pools

 Isilonはデータ自動階層管理機能を持つが、これも適用できる。つまり、アクセス頻度が低いなど、特定の条件に合ったデータを、自動的にパブリッククラウドなどへ移動できる。移動はするものの、ユーザーは、あたかも全データがローカルのIsilonにとどまっているかのように、必要に応じてアクセスできる。

 対応するパブリッククラウドは、Amazon Web Services S3、Microsoft Azure、Virtustream。クラウドへの保存に関しては、データを暗号化し、細分化し、圧縮する。CloudPoolsの料金体系は、容量に応じた月額課金になるだろうという。

 なお、EMCはOneFSの機能強化についても説明した。次期バージョンでは、ソフトウエアアップグレードが無停止で行えるようになる。アップグレードソフトウエアのロールバックも可能になる。

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