学生時代、夢中になったことはありますか?それを仕事に生かせたら、今より楽しく感じられるかもしれません。仕事の不満や悩みを解消するヒントをお届けする本連載。今回のテーマは「夢中を仕事に生かす」です。
野球、サッカー、バスケット、音楽、美術……部活やサークルなど、学生時代に夢中になったことはありますか?
当時は先生やコーチからたくさん叱られたかもしれません。大会で結果を出せずに悔しい思いをしたかもしれません。けれども当時のことをあらためて思い出すと、何やかやいっても楽しかったし、夢中になれたのではないでしょうか。
一方、仕事はどうでしょう? 楽しくないし、夢中になれない。できれば叱られたくないし、悔しい思いもしたくない……そんな気持ちを抱いているかもしれません。
もしあの時の「夢中になった感覚」を思い出せたら、もし「夢中になれた『何か』」を仕事にも生かせたら、仕事も「楽しい!」と感じられるようになるかもしれません。今回のテーマは、「夢中を仕事に生かす」です。
去る2015年12月6日、筆者は久しぶりに「夢中」になりました。27年ぶりに吹奏楽の演奏会で演奏したのです。
筆者は「妙高高原中学校(旧妙高高原町立妙高中学校)」の吹奏楽部出身です。同校は新潟県妙高市の山間にあり、現在は生徒数100人余の小さな学校ですが、マーチングは全国レベルの実力校です。この吹奏楽の同級生から、「吹奏楽部の同窓会として、在校生とOB・OGで合同演奏をしよう」という連絡が入ったのです。
中学を卒業したのは30年前、最後に楽器を吹いたのは27年前です。演奏会の話を聞いたときは正直、「音が出ないのではないか」「今から練習しても無駄なのではないか」と前向きな気持ちになれませんでした。
しかし演奏会が終わった今、筆者が感じているのは、最近味わったことのないような「楽しさ」でした。
言葉で表現するのは難しいのですが、内面からジワジワくるような感覚です。理屈などはどうでもよくて、雑念や損得みたいなものが何も混じっていない、純粋に、単純に「楽しい」という感覚。
普段も「楽しい」と感じることはあります。けれども、頭の表層で感じる「楽しさ」とはちょっと違った、より深いところにある「楽しさ」に反応したような気がします。こんな感覚は、久しぶりかもしれません。
このような「楽しい」感覚を大人が感じる機会は、意外と少ないのかもしれません。
私たちは大人になるプロセスの中で、さまざまな経験をしてきました。中には失敗もありました。同じ過ちを繰り返さないように、「○○とは、こういうものだ」「○○は、しない方がいい」のように学習し、現在に至っています。
これらの学習は、私たちにさまざまな視点を与え、危険から守ってくれます。一方、新しい行動を始めようとしたり、チャレンジしたりするときに、つい「できない理由」や「損得」を考えさせてしまい、純粋な「楽しさ」を味わいにくくしています。
もし、学生時代に部活やサークルで味わった、あの純粋な「楽しさ」を仕事でも味わえたら、どれだけ毎日が楽しいでしょう。
とはいえ、部活やサークルでやっていたこと「そのもの」を仕事にするのは難しいかもしれません。
例えば、筆者がどんなに「あぁ、やっぱり音楽はいいなぁ」と思っても、今からプロの音楽家になることはほぼ無理でしょう(1パーセントぐらいの可能性はあるかもしれませんが……)。もしサッカー部出身者がプロサッカー選手になって生計を立てていくのは、さらに過酷な道のりです。
ですから、「楽しみは趣味で。仕事は楽しくないけれど、生活のために」と、夢中になれた時代を懐かしみつつも、プライベートと仕事をはっきりと分けている方も少なくないでしょう。
けれども諦めないでください。いい方法があります。
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