「プライマリーストレージのオールフラッシュ化」を目指すEMCは、エンタープライズデータプラットフォーム「VMAX All Flash」と“ラックスケールフラッシュ”「DSSD D5」を発表し、オールフラッシュ製品ラインアップを拡充した。
米EMCは2016年2月29日(米国時間)、オールフラッシュストレージ製品のラインアップを拡充する2製品を発表した。具体的には既存の主力オールフラッシュアレイ「XtremIO」を補完するエンタープライズデータサービスプラットフォームとして位置付けられる「VMAX All Flash」、新しいフラッシュストレージカテゴリーとなる“ラックスケールフラッシュ”ソリューション「DSSD D5」の2製品だ。DSSDに関しては、「DRAMの延長として使えるフラッシュ装置、DSSDの実機がデビュー」でも紹介した通り、「EMC World 2015」で公開された新しいカテゴリーのストレージ装置。大量のNANDメモリをDRAMに近いパフォーマンスで利用できる。
EMCでは、これらの新製品でオールフラッシュ製品ラインアップを拡充することで、「企業データセンターのあらゆるユースケースをカバーし、従来のエンタープライズディスクベースアレイより低コストでデータを保存できるようにする」ことを目指すとしている。
EMCは、2020年までに、本番アプリケーションで使用されるストレージが全てフラッシュベースになり、従来のディスクは主に、アクセス頻度の低いデータが保存されるバルク(大容量)およびアーカイブストレージにのみ使われるようになると見ている。今回のフラッシュ新製品の投入は、「プライマリーストレージ向けオールフラッシュアレイに対するEMCのコミットメントの表れ」だとしている。
VMAX All Flashは、ハイエンドストレージ「VMAX」をフラッシュストレージの採用により一新した製品。最大4PB(ペタバイト)までストレージ容量を拡張でき、99.9999%の可用性が要求されるブロックおよびファイルのワークロードを集約できるとしている。この他、IBMのメインフレームおよび「iSeries」のサポート、スケーラブルなストレージ拡張を実現する。
また、VMAX All Flashでは、シンプルなアプライアンス的なパッケージングや、「Xpect Moreプログラム」による全使用期間据え置きの料金での保守サービス、全使用期間にわたるフラッシュの耐久性保護により、ストレージアレイの価格体系の近代化も図られているという。
一方、DSSD D5は、5ラックユニットで1000万IOPS、100マイクロ秒以下のレイテンシ、100GB/秒の帯域幅、144TBの容量(使用可能容量100TB)を実現する。EMCによると、現在最速とされるフラッシュストレージプラットフォームと比べて「TCOは最大68%低く、レイテンシは5倍低く、IOPSと帯域幅は10倍大きい」という。「Apache Hadoop」や「Oracle Database」を利用したリアルタイム分析など、パフォーマンス集約型でマイクロ秒レベルのレイテンシが要求されるユースケースに適しているという。
EMCのコンバージドプラットフォーム(垂直統合型システム)部門であるVCEは、これら一連のオールフラッシュ製品をベースにした新しいコンバージドインフラ製品を投入する予定だという。
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