ルーターやスイッチには、簡易的な名前解決の仕組みを持たせることができます。
(config)# ip host ホスト名 IPアドレス
上記のコマンドをデバイスに設定しておくと、IPアドレスの代わりにホスト名を指定してデバイスにアクセスすることができます。この仕組みではいわゆる「正引き」(ホスト名からIPアドレスを参照する)を実現できるのですが、このとき、未使用のIPアドレスを設定すると、デバイスとの疎通がとれなくなってしまいます。
また、名前解決の際に、ホスト名を誤入力してしまうケースもあります。間違ってしまった場合、DNSによる名前解決が有効であれば、デバイスではなくDNSサーバに名前解決の問い合わせを行うことになります。DNSサーバのIPアドレスを設定していない場合は、ブロードキャストでDNSサーバの存在を探そうとします。また、DNSサーバが存在しないときは、タイムアウトになるまで待たされることになります。
DNSによる名前解決を無効化する場合は以下のコマンドを入力しておきます。
(config)# no ip domain lookup
ルーティングプロトコルに関係する問題としては、以下のものが挙げられます。
【広報対象漏れの問題】
OSPFやEIGRPでは、networkコマンドを使用して広報するインタフェースを設定します。このとき、広報対象の設定を忘れると「直接接続しているルーターからは疎通がとれるが、それ以外のPCやルーターから通信できない」という状態になります。
【自動集約と不連続ネットワークの問題】
EIGRPやRIPv2では、初期状態で「自動集約」が有効になっています。自動集約とは、クラスレスのネットワークアドレスを複数使用しているときに、クラスフルアドレスに集約する機能です。ルーティングアップデートで広報される経路情報を減らすことができます。
その反面、サブネット化されたアドレスが別のネットワークアドレスで分断されているような状態では、期待通りの通信が行えなくなります。
さて、今回はネットワークのレイヤー3におけるトラブルシューティングについて紹介しました。次回は、引き続き同テーマの説明と、演習問題にチャレンジしてみましょう。
ドヴァ ICTソリューション統轄本部 デベロップメント&オペレーショングループ 2部
情報系専門学校の教員を12年勤めた後に同社へ入社、エンジニアへ転向。沖縄県と首都圏を中心にネットワーク構築業務に携わる。また、シスコ・ネットワーキングアカデミー認定インストラクタートレーナーとして、アカデミー参加校のインストラクターを指導している。炭水化物をこよなく愛する男。
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