オンラインストレージ上のデータについては、データの内容によって適切にフォルダを分けて構成することと、それぞれのフォルダに対するアクセス権限やデータの操作に関する権限(更新・削除の可否など)を適切に設定することが望まれます。
これらには、大きく2つの意義があります。1つは、存在するデータの種別とその保管場所を明確に定義しておくことで、フォレンジック実施時のデータの取得対象範囲を限定できること。そしてもう1つが、そのフォルダにアクセスできる(できた)関係者を限定することで、フォレンジック実施時のデータ取得対象となる個人デバイスを限定できることです。
図1を例にとって説明しましょう。今、インシデントが発生してしまったある企業で、フォレンジックによる調査を実施することになったとします。このとき、それぞれの機器、フォルダには次のような容量のデータが保存されていました。
作業実施の人件費を除く、証拠保全の単価とデータベース化の単価は以下のように仮置きします。
さて、ここで対象となるデータは図1で示されるサーバのどこかに保管されている可能性が高いものの、この企業では、どこに何のデータが保存されているのか明確に把握できていません。さらに、対象データに対する権限が適切に設定されているかも不明瞭で、誰でも自由にコピー・移動できる可能性がある環境でした。従って、図1上に存在する全てのデータがフォレンジックの対象となります。この場合、以下の費用が発生します。
このように、ファイルの運用管理に関するルールやアクセス権限が適切に定められていない、もしくはそのルールが形骸化していたためにファイルの閲覧・コピーが誰でも自由に行えてしまう環境などでは、フォレンジックのコストが大きく膨らんでしまうことになります。
では、同じフォルダ構成、同じアクセス権限で、各フォルダに格納されているデータの中身を明確に区分けするルールが存在し、そのルールが実践されていた場合はどうでしょうか?
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