前回に続き、Windows Server 2016 TP5における、Dockerとの相互運用性が強化された「Windowsコンテナ」について説明します。
Windows Server 2016 Technical Preview(TP)5では、「Docker Hub」へのWindowsイメージの「pull/push」がフルサポートされました。
マイクロソフトは、Docker Hubに設けられたマイクロソフトのパブリックなリポジトリ(https://hub.docker.com/r/microsoft/)を通じて、Windowsベースのコンテナイメージを提供しています。
例えば、Windows Server Coreイメージ/Nano Serverイメージをベースとした、IISやASP.NETを含むイメージや、オープンソースソフトウェアを含むイメージが公開されています。ユーザーは、「docker pull」コマンドを使用してアプリケーションを含むイメージをWindows Server 2016 TP5のコンテナホストにダウンロードし、そのイメージからコンテナを作成することができます(画面1、画面2)。
Docker HubのサポートはWindows Server 2016 TP5からだと思っている人が多いと思いますが、実は、Windows Server 2016 TP4のときも限定的なサポートが提供されていました。当時は、Windows Server 2016 TP4のWindows Server Coreをベースとしたイメージを「docker pull」コマンドで入手することができました(画面3)。Windows Server 2016 TP5では、Windows Server 2016 TP5のWindows Server CoreおよびNano Serverをベースとしたイメージが公開されており、利用可能になっています。
Windows Server 2016 TP5におけるDocker Hubのフルサポートとは、“「pull/push」の両方に対応した”ということです。Docker Hubを利用するためのアカウント(Docker ID)を持っていれば、自身のパブリックまたはプライベートなリポジトリにWindowsベースのコンテナのカスタムイメージをpushしてアップロードできます(画面4)。
ユーザーは、自身のプライベートリポジトリを中心に、複数のコンテナホストでアプリケーションを管理できます。また、パブリックリポジトリを通じて、アプリケーションを広く配布することもできるはずです(配布については、ライセンスに関連して何か制約があるかもしれません)。
マイクロソフトは2016年4月から、Microsoft Azureにおいて「Azure Container Service」の一般提供を開始しています。このサービスは、大規模環境に適した、オープンソースで構築されるコンテナ管理サービスです(画面5)。
現在のAzure Container Serviceは、プラットフォームこそMicrosoft Azureですが、サービスを提供する管理サービスやコンテナホストは完全にLinuxをベースにしたものです。
Azure Container Serviceには、将来的にWindowsコンテナが統合されていくことになっています。前回と今回で説明した、Windows Server 2016 TP5におけるDockerとの相互運用性の高さが、それを現実に近づけることになるのではないでしょうか。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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