ニュータニックスは「エンタープライズのためのAWS」になろうとしているNutanix .NEXT Conference 2016

ニュータニックスは6月21日、「エンタープライズのためのAWS」を目指し、「ヴイエムウェアにできなかった社内ITインフラのクラウド化を進める」と、同社の年次カンファレンスで宣言した。

» 2016年06月22日 08時00分 公開
[三木 泉@IT]

 米ニュータニックスは2016年6月21日(米国時間)、同社が米ラスベガスで開催中のイベント「Nutanix .NEXT Conference 2016」で、同社のハイパーコンバージドインフラ製品は「エンタープライズのためのAmazon Web Services(AWS)」だとし、同社が「真の」プライベートクラウドを提供できる数少ない存在だと訴えた。

 ニュータニックスが最近掲げているメッセージは、「You needed VMware. You want AWS. You’ll love Nutanix.(あなたはVMwareを必要としてきたが、AWSを欲しいと思っている、それならNutanixを好きになるだろう)」というもの。

「Nutanixは、エンタープライズのためのAWS」だという

 AWSのように、瞬時にインフラを構築できるスピード、シンプルな使い勝手、コストがリソースの利用量に比例する効率性などを実現するインフラ基盤でありながら、クラウドネイティブなアプリケーション、企業が抱える既存のアプリケーションの双方を安心して動かせる環境を、ハイパーバイザ非依存、物理/仮想混在で提供できるように、進化を続けているという。

 基調講演には、AWSの大規模顧客でありながら、一部のアプリケーションを自社データセンターに戻したT-MobileのITインフラ担当者も登場。同社は従来型のアプリケーションを自社データセンターで改めて稼働するための基盤として、クラウド的な運用ができるニュータニックスを採用したという。

新機能で「あらゆるアプリ、あらゆるクラウド」への対応を進化

 基調講演後に、ニュータニックスの チーフ・プロダクト&デベロップメント・オフィサーであるスニル・ポッティ(Sunil Potti)氏に確認したところによると、同社は最終的にはあらゆるアプリケーション、ハイパーバイザ、クラウドサービスを統合的に管理できる単一のインターフェースの提供を目指している、だが、現在のところは、逆に複数のクラウド管理ツールから管理されるプラットフォームとしての機能強化を優先している。

 今回ニュータニックスが発表した主な機能は次の通り。

 あらゆるアプリへの対応では、エンドユーザーが容易に使えるコンテナ環境の提供、および物理サーバのストレージを統合する機能が発表された。

  • 「Acropolis Container Services(ACS)」:永続ストレージ機能を備えたDockerコンテナ環境を、Kubernetesによるオーケストレーションで提供する。開発者や事業部門ユーザーは、後述のセルフサービス機能との連携により、Webブラウザ上でDocker Registry上のコンテナアプリを指定し、永続的に使いたいNutanix上のデータボリュームを関連付けるといったシンプルな操作で、コンテナアプリをダウンロードし、稼働できるようになる。
  • Acropolis Block Services(ABS):Nutanix上のデータボリュームで、ブロックインターフェース(iSCSI)を提供する機能。例えばOracle RACなど、物理サーバで動かしたいアプリケーションのデータをNutanixに移行し、他のデータとともに、Nutanixで一括管理できるようになる。

 あらゆるハイパーバイザ/クラウドへの対応では、主にニュータニックスのKVMベースのハイパーバイザであるAcropolis Hypervisor(AHV)とVMware ESXiとの間で、ESXiの仮想マシン/仮想ディスク形式を変換して災害対策用の遠隔バックアップができる機能や、仮想マシンのスナップショットを形式変換して、AHVとESXiの双方で活用できる機能などを既に提供している。新たに発表されたのは次の機能。

  • Microsoft Cloud Platform Systemソリューション:Azure Packを搭載したマイクロソフトのプライベートクラウドソフトである「Microsoft Cloud Platform System(CPS)」を、ニュータニックスのハードウェアに載せた製品を提供する。このソリューションでは、アプリケーション/仮想マシンの作成などについてはCPSのポータルで行う一方、データについては同社のストレージソフトウェアで管理する。つまり、現在のESXi管理と似た形態になる。
  • ESXi環境の直接管理:AHVに加えて、ESXiについても、ニュータニックスの管理ツール「Prism」から直接管理できるようになる。管理者は日常運用で、vCenterの管理画面を見ることがなくなる。こうした機能を、今後他のプラットフォームにも適用していく。
  • OpenStackドライバの提供:Nutanixではストレージソフトウェアを含め、OpenStackドライバが出そろい、基本的に全てのインフラ要素を、OpenStackから管理できるようになった。

 運用管理では、次の3点が新しい。

  • 管理ツールPrismにおけるセルフサービスポータル機能:情報システム部門におけるNutanixの運用担当者は、各ユーザーグループに、CPU、メモリ、ストレージの消費上限やネットワーク(VLAN)の割り当てを設定、ユーザー側は与えられた枠のなかで、自由にNutaniixのリソースを活用し、仮想マシンやコンテナアプリを自らの手で作成・配置・活用できる。
  • 「AHV dynamic scheduling」:VMware vSphereの「DRS」に似た、仮想マシンの自動再配置機能。CPU/メモリの利用状況に加え、ストレージのIOPSなどの情報を、再配置に生かすことができる。
  • Prismのシナリオベースモデリング機能:キャパシティプランニングを容易にする機能で、今後いつどれくらいの規模のアプリケーションを投入する予定かを登録すると、これまでのリソース利用状況から、現存リソースの枯渇時期を予測し、どのような構成の機種を追加購入すべきかをアドバイスする。

[取材協力:ニュータニックス]

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