Socket.IO開発時に役立つツール4選とroom、namespaceライブラリの使い方Socket.IOで始めるWebSocket超入門(終)(1/3 ページ)

本連載では、WebSocketを扱えるNode.jsのライブラリ「Socket.IO」の使い方について解説します。今回は、チャットアプリ開発を進めながら、「room」「namespace」ライブラリの使い方について説明し、最後に開発時に役立つツールを4つ紹介します。

» 2016年07月04日 05時00分 公開
[猪熊朔也三菱総研DCS]

 本連載「Socket.IOで始めるWebSocket超入門」では、WebSocketを扱うことができるNode.jsのライブラリ「Socket.IO」を使って、サンプルアプリケーションを構築していきます。

 具体的には、チャットを題材とし、送受信されるメッセージ内容が即時反映されるリアルタイムかつ双方向なWebアプリケーションの構築を目標とします。さらに構築の中で、Socket.IOの各種ライブラリの使い方について解説することで、Socket.IOを使ったWebSocketの実践方法を体系的に学びます。

 前回の「チャットアプリ開発に見る、Socket.IOの基本ライブラリの使い方」では、実際にチャットアプリ開発をしながら、Socket.IO基本ライブラリの使い方を確認しました。今回は、さらにチャットアプリ開発を進めながら、「room」「namespace」ライブラリの使い方について説明します。

 以降は、前回のチャットアプリ開発までが完了していることが前提です。もし、まだチャットアプリ開発まで終わっていない方は、前々回、前回記事を参考にしてみてください。

「room」「namespace」とは

 Socket.IOでは、データの送受信だけではなく、「room」「namespace」という2つのライブラリを提供しています。

 roomは、双方向・リアルタイムデータ送受信を任意の範囲で行うための仕組みです。roomを使用すると、文字通り、その部屋に所属するクライアント間のみでデータをやりとりすることが可能です。

 namespaceは、Socket.IOの実装を機能単位で分割するための仕組みです。例えば、現在のチャットアプリに外部API連携機能や、お知らせ機能を追加する際に、namespaceを使用すると簡単に実装することが可能です。

 それでは、2つのライブラリについて、順に実装しながら説明します。

roomを使ったチャットルームの実装

 前回記事時点でのチャットアプリには、チャットルームがありません。そこで、チャットルーム機能をroomを使用して実装します。今回は、「部屋01」「部屋02」という2つの部屋を用意します。実現したいことのイメージ図を以下に記載します。

チャットルーム機能イメージ図

 それでは、実際に実装してみましょう。

クライアント側の実装

 まずは、クライアントサイドです。

<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
    <meta charset="utf-8">
    <title>websocket-chat</title>
    <link rel="stylesheet"
    href="https://maxcdn.bootstrapcdn.com/bootstrap/3.3.5/css/bootstrap.min.css">
    <script src="https://ajax.googleapis.com/ajax/libs/jquery/1.11.3/jquery.min.js"></script>
    <!-- C01. Socket.IOクライアントライブラリの読込み -->
    <script type="text/javascript" src="/socket.io/socket.io.js"></script>
</head>
<body>
    <div class="container">
        <h1>WebSocket-Chat</h1>
        <form class="form-inline">
            <div class="form-group">
                <label class="roomLabel" for="rooms">部屋:</label>
                <select class="form-control" id="rooms">
                    <option value="room01">部屋01</option>
                    <option value="room02">部屋02</option>
                </select>
                <label class="nameLabel" for="msgForm">名前:</label>
                <input type="text" class="form-control" id="msgForm">
            </div>
            <button type="submit" class="btn btn-primary" id="sendButton">入室</button>
        </form>
        <div id="chatLogs"></div>
    </div>
 
    <script type="text/javascript">
        var socket = io.connect(); // C02. ソケットへの接続
        var isEnter = false;
        var name = '';
 
        // C04. server_to_clientイベント・データを受信する
        socket.on("server_to_client", function(data){appendMsg(data.value)});
        function appendMsg(text) {
            $("#chatLogs").append("<div>" + text + "</div>");
        }
 
        $("form").submit(function(e) {
            var message = $("#msgForm").val();
            var selectRoom = $("#rooms").val();
            $("#msgForm").val('');
            if (isEnter) {
              message = "[" + name + "]: " + message;
                // C03. client_to_serverイベント・データを送信する
                socket.emit("client_to_server", {value : message});
            } else {
                name = message;
                var entryMessage = name + "さんが入室しました。";
                socket.emit("client_to_server_join", {value : selectRoom});
                // C05. client_to_server_broadcastイベント・データを送信する
                socket.emit("client_to_server_broadcast", {value : entryMessage});
                // C06. client_to_server_personalイベント・データを送信する
                socket.emit("client_to_server_personal", {value : name});
                changeLabel();
            }
            e.preventDefault();
        });
 
        function changeLabel() {
            $(".nameLabel").text("メッセージ:");
            $("#rooms").prop("disabled", true);
            $("button").text("送信");
            isEnter = true;
        }
 
    </script>
</body>
</html>
index.html(17〜22、44、53、64〜65行目が追加・変更部分)

 クライアントサイドでは、チャット部屋のセレクトボックスと、選択された部屋名をサーバサイドに送信するclient_to_server_joinイベントを追加しています。

サーバ側の実装

 続いてサーバサイドです。

// S01. 必要なモジュールを読み込む
var http = require('http');
var socketio = require('socket.io');
var fs = require('fs');
// S02. HTTPサーバを生成する
var server = http.createServer(function(req, res) {
    res.writeHead(200, {'Content-Type' : 'text/html'});
    res.end(fs.readFileSync(__dirname + '/index.html', 'utf-8'));
}).listen(3000);  // ポート競合の場合は値を変更
 
// S03. HTTPサーバにソケットをひも付ける(WebSocket有効化)
var io = socketio.listen(server);
 
// S04. connectionイベントを受信する
io.sockets.on('connection', function(socket) {
    var room = '';
    var name = '';
 
    // roomへの入室は、「socket.join(room名)」
    socket.on('client_to_server_join', function(data) {
        room = data.value;
        socket.join(room);
    });
    // S05. client_to_serverイベント・データを受信する
    socket.on('client_to_server', function(data) {
        // S06. server_to_clientイベント・データを送信する
        io.to(room).emit('server_to_client', {value : data.value});
    });
    // S07. client_to_server_broadcastイベント・データを受信し、送信元以外に送信する
    socket.on('client_to_server_broadcast', function(data) {
        socket.broadcast.to(room).emit('server_to_client', {value : data.value});
    });
    // S08. client_to_server_personalイベント・データを受信し、送信元のみに送信する
    socket.on('client_to_server_personal', function(data) {
        var id = socket.id;
        name = data.value;
        var personalMessage = "あなたは、" + name + "さんとして入室しました。"
        io.to(id).emit('server_to_client', {value : personalMessage});
    });
    // S09. dicconnectイベントを受信し、退出メッセージを送信する
    socket.on('disconnect', function() {
        if (name == '') {
            console.log("未入室のまま、どこかへ去っていきました。");
        } else {
            var endMessage = name + "さんが退出しました。"
            io.to(room).emit('server_to_client', {value : endMessage});
        }
    });
});
app.js(16、19〜23、27、31、46行目が追加・変更部分)

 サーバサイドでは、client_to_server_joinイベント受信処理を追加しています。アクセスしたクライアントを特定のroomに入室させるには、「socket.join(room名)」を使用します。

 また、emit(送信)処理を以下のように変更しています。

変更前 変更後
io.sockets.emit(全クライアント送信) io.to(room).emit
socket.broadcast.emit(ブロードキャスト送信) socket.broadcast.to(room).emit

 データ送信を特定のroomに限定するには、「to(room名)」を使用します。これにより、全クライアント送信・ブロードキャスト送信の範囲は指定したroomのみになります。

 ちなみに、入室したroomから退室したい場合は、「socket.leave(room名)」を使用します。ただし、Socket.IOでは、disconnectイベントが発生すると自動的にそのクライアントをroomから退出させます。入室したチャットルームを切り替えるなど、disconnectイベント以外でroom退室処理が必要な場合のみ使用すればいいでしょう。

動作確認

 コードの変更・保存が完了したら、アプリケーションの動作を確認します。4つのブラウザウィンドウでアプリケーションを開いてください。その後、部屋01、部屋02にそれぞれ2クライアントずつ入室します。

チャットルーム機能動作確認【1】

 部屋01、部屋02のクライアントでそれぞれメッセージを送信します。

チャットルーム機能動作確認【2】

 メッセージが、全クライアントではなく、部屋01、部屋02の範囲内でのみ共有されたことが確認できたと思います。このように、roomを使用すると、データの送信対象を任意にグループ化することができます。

roomへの入室:socket.join(room名) / roomから退室:socket.leave(room名)
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