資格よりも実務経験の方が役に立つ。それは、ある意味本当だ。だが、その実務経験が偏りのあるものだったら?
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本連載は、エンジニア参加型メディア「エンジニアライフ」から、@IT自分戦略研究所編集部が独自の視点で選んだ“良”コラムを転載するものです。
市井のエンジニアが人生の人生の節目節目で考えたことをつづる本連載。シーズン1は、“一介の職業エンジニア”松坂高嗣さんがエンジニアのキャリアを解説した。シーズン2は、複数のエンジニアたちが、エンジニア生活のリアルをお届けする。
一流大学を出て資格も持っている。だけど仕事ができないヤツはいる。学校や試験勉強で得た知識なんて、それだけでは役に立たない。
「踊る大捜査線」などのドラマには、現場のことを分かっていないキャリア幹部が登場する。学歴があり試験に強く理論だけが立派な人間は、役に立たないことが多い。実際には現場の泥臭い仕事を経験している人間の方が役に立つものだ。事件は会議室で起きているんじゃないのだから。
現場で幅広い有意義な体験を積んでいたら、実務経験は資格や学歴なんかよりもよっぽど役に立つ。
ただし、だ。実務経験には偏りがある。
職場によっては、仕事の質やセキュリティや保守性の意識が低いかもしれないし、担当業務によっては、狭い分野の限られた経験しか積んでいないかもしれない。覚えても後で使えない仕事もある。「実務経験は必ず役に立つ」と言う人は、仕事に恵まれてきた人だともいえる。だから、「○○言語でソフト開発を10年やってました」とだけ聞いても、使える人材かどうかは判断できない。
資格試験には必要なことが一応網羅されているので、その分野の常識は把握しているはずだ。学歴が高ければ英語の文献もある程度は理解できるだろう。さらにTOEICのスコアが高ければ海外との交渉も任せられるかもしれない。このように資格や学歴で判断できることもある。
学歴や資格の方が、偏った業務経験や脚色された自己アピールよりも「客観的に判断できる」という点では、優れている。
私が言いたいことは実は資格の是非ではない。
世の中には、「英語は絶対、勉強するな!」や「働きながら、半年間の独学で合格! 中小企業診断士試験『反常識』勉強法」などの、常識を否定するタイトルの本がある。でも、その中身は常識を完全に否定しているわけではない。
「働きながら、半年間の独学で合格! 中小企業診断士試験『反常識』勉強法」(中津山恒著、自費出版)の中には、「反常識勉強法は、いたって常識的」と書かれている。つまり、世の中の常識を完全にひっくり返すのは、なかなかできないものだ。
資格や学歴は「あって困るものではない」というのが世の中の常識だ。そうなると、「要りません」と断言するのは難しそうだ。
私は「かもしれない」「だと思う」という弱気な表現はあまり好きではないので、「〜だ」「に違いない」と断言することが多い。そうすると、根拠が不十分なためにお叱りを受ける。根拠や前提条件をちゃんと提示しないと断言はできないものなのだ。
文章を書くときも、職場で意見を言うときも、「断定するときは、根拠や前提条件をはっきりさせなければいけない」というのが私が言いかったことだ(←断定)。
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