3番手は、がりっちさんによる作品「イケメンドミネーター」。ハンドガン形状の物々しいデバイスを手に登壇したがりっちさんは、開口一番「僕はとにかくモテたいんです! そこで、どうしたらモテるようになるのか考えました!」
がりっちさんがたどった思考の軌跡はこうだ。なぜ俺はモテないのか→それは、世の中にイケメンがいるからだ→じゃあイケメンを世の中から排除すればいい!→でもどうすれば排除対象のイケメンを特定できるのだろうか……→そうだ、IoTだ!
がりっちさんが参考にしたのは、某TVアニメ番組に登場した「犯罪者を自動的に特定する銃」。これに倣い、イケメンを自動判別する銃「イケメンドミネーター」を作り上げたのだ。
イケメンを判別するロジックは、Microsoft Cognitive Services Face APIおよびMicrosoft Azure Machine Learningを使って実装。しかも、自分の顔だけはイケメン偏差値が高く検出されるよう、特別なロジックまで組み込んだというから、「モテたいパワー」恐るべしだ。
「イケメンドミネーターが全国に普及することで、世の中のイケメンの定義は私を基準に塗り替えられる!」と自身の野望を熱く語るがりっちさんに、会場を埋め尽くした非リア充たち(筆者も含む)から万雷の拍手喝采が贈られたのは言うまでもない。
続いて登壇した谷口慈行さんが紹介したのは、「WatchRoll」というアプリ。
「1人暮らしにとっての最大の悲劇、それはトイレットペーパー切れです。誰も代わりにトイレットペーパーを買ってきてくれない状況下で、紙切れに気付くこの絶望的な瞬間。こんな悲劇を、繰り返してはならないのです!」
そこで谷口さんが考案したのが、センサーを使って自動的にトイレットペーパーの残量を検知し、PCやスマートフォンから常にチェックできるというアプリ。ペーパーの在庫がなくなると、パトランプで警告してくれる仕組みまで備え、「拭こうと思ったら、ない!」という深い絶望から人類を永遠に救済する歴史的な大発明なのだという。
これまで登場した3つのアプリと比べれば、はるかに実用性がありそうだが、審査員のアンドレさんから「どうせなら、家族の中で誰がどれだけ紙を使ったかまで可視化できれば面白いかも」という感想が出たかと思うと、同じく審査員の大和田さんが「それなら、『どれだけお尻がきれいになったか』という基準も入れないと!」と返し、やはり最後はおばかなオチで締めくくられたのだった。
5番手にさっそうと登場したのは、一見するとおばかとは全く無縁に見える爽やかそうな印象の市川雅明さん。ところが、今回の応募作である「パルス診断」のプレゼンを開始して早々に、その印象は見事に覆されることになる。
「コンセプトは女子と合法的に……ではなく“合理的に”手をつなぐこと。そのために、IoTを使ってドキドキ(心拍数)を見える化して、2人の相性診断を行います」
世のモノ作りの多くは、「女子と仲良くしたい!」(“女性”ではなく“女子”であるところがポイント)という欲求に突き動かされている(と筆者は勝手に思っている)。市川さんもご多分に漏れず、この欲求に知らず知らずに突き動かされるうちに、ふと気付くとRaspberry Piと心拍センサーを手に開発に着手していたのだ。
こうして出来上がった「パルス診断」。使い方はというと、男女がそれぞれ手に心拍センサーを取り付けて手をつなぐ。すると、互いの心拍数がスマホアプリ上にリアルタイムで表示され、さらに2人そろって「バ○ス!」(某有名アニメ映画の決め台詞)と唱えると、相性診断の結果が表示されるという。
「では実演してみましょう!」と意気込んでデモに臨んだ市川さんだったが、「小学4年生の夢」のアシスタントさんと2人で行った相性診断の結果は「52%」と、何とも微妙な結果に……。IoTを使ったモテ研究のさらなる進展が望まれる。
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