続いて登壇したのは、「UFOピッチャー」を開発したTBDの高橋哲さん。
「皆さん、カフェなどでカップルが『はい、アーン』とやっているのを見て、殺意を抱いたことはありませんか? 当然ありますよね。そんな皆さんのために開発したのが、スマホを使って遠隔で『お口アーン』ができるUFOピッチャーです!」
つっぱり棒に取り付けたデバイスをスマホから遠隔操作して、ちょうど口の真上に移動したところで食べ物を落下させて、遠隔で「お口アーン」を実現する世界初の夢のマシンなのだという。「おててつなぎ」が終わったと思ったら、今度は「お口アーン」か……。そんな得も言われぬ脱力感が会場を覆い尽くすのもお構いなしに、高橋さんは意気揚々とUFOピッチャーの実演に移る。
「おばかアプリ選手権には『変態の要素』が不可欠だと聞いたので、本日は強力な変態助っ人をお呼びしました。斉藤さん、どうぞ!」
こうして呼び込まれたのが、なぜかウエットスーツに水中眼鏡、シュノーケルといういでたちの斉藤之雄さん。異様なハイテンションを振り巻きながら椅子に座って上を向き、手足をバタつかせながら口をパクパクさせて「お口アーン」をおねだりする姿は、もはやおばかの領域をはるかに通り越して人類未踏の領域まで達してしまい、会場中が異様な雰囲気に……。
そんな会場の雰囲気を一変させたのが、続いて登壇した日本Androidの会 秋葉原支部の鈴峰きりさん、林博さん、小暮敦彦さんの3人。
鈴峰さんは、メイド喫茶「燈幻郷」のメイドさんであると同時に、テクモードの代表取締役と、日本アンドロイドの会 秋葉原支部の支部長も務める、マルチな才能の持ち主だ。
そんな鈴峰さんがかわいい衣装を身にまとって登場した途端、つい先ほどまで繰り広げられていた地獄絵図の余韻が一気に冷めて、会場中が「萌えー」な空気で満たされた――と思ったのもつかの間、この3人が発表するアプリは、何とその名も「変態ベルト」。不特定多数のスマホアプリでタップ操作を行うと、そのタップ量に応じてメイドさんが着けたベルトのバックルが外れて、「メイドさんが涼しくなる」のだという。
「さあ、メイドさんを涼しくするために、皆さんご協力ください!」。小暮さんの一声で、会場中の皆が必死の形相でアプリ画面を高速タップすると、鈴峰さんがはくスカートがヒラリ……とまではさすがにいかず、実際にはスカート“風”のものが外れただけだったが、ここへ来て“変態”の濃度が、一気にMAXまで達したのだった。
こうして一気に高まった変態テンションはしかし、続いて登場した中村師さんと斎藤佑樹さんが開発したアプリ「NOTTERU」によって一気に吹き飛ばされてしまった。
NOTTERUのコンセプトは、「クラブの盛り上がりを見える化するアプリ」。リストバンド型のデバイスにセンサーを取り付け、装着して踊るときれいに光る仕掛けになっている。踊り方が変わると、それに応じて光の色も変わる。またスマホと連動することで「盛り上がり度」や曲のBPMがアプリ画面に表示され、さらにはマップと連動することで「近くのどのクラブが盛り上がっているか」も一目で分かるという。
デモでは、リストバンドの光り方の変化を楽しみながらクラブで仲間を見つけたり、ナンパをしたりする様子が実演された。本当に今すぐにでも使いたくなるような楽しいアプリで、審査員のアンドレさんも「すぐにでも実用化できそうなアプリですね」となかなかの高評価。
しかし忘れてはいけない。ここはクラブなどではない。非リア充たちのルサンチマン渦巻く、おばかアプリ選手権の場なのだ。審査員の大和田さんは「来たな、リア充どもめ!」と完全に臨戦態勢で、「これまでの発表では、女の子と仲良くなるために間違ったアプローチを『これでもか、これでもか』と繰り出してきたのに、これでは本当にモテてしまうではないか!」とご立腹の様子。そう、モテを追求していたつもりが、気付くといつも真逆の方向に走り出しているおばかの悲しき性こそが、IoT時代に求められる真のクリエイティビティなのだ。
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