Azure RemoteApp、「2017年8月」でサービスを終了Microsoft Azure最新機能フォローアップ(22)

マイクロソフトが、Microsoft Azureのサービスの1つ「Azure RemoteApp」のサービス終了について発表しました。現在、Azure RemoteAppを利用中の場合は「2017年8月31日」までに別のソリューションに移行する必要があります。

» 2016年09月01日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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Azure RemoteApp、突然のサービス終了

 Microsoft Azureの「Azure RemoteApp」は、2014年12月に正式提供が開始された、比較的新しいサービスです。本連載の以下の記事で取り上げたように、Windows ServerのリモートデスクトップサービスのRemoteApp環境をクラウド上に簡単に展開し、アプリケーションを「リモートデスクトッププロトコル(RDP)」経由で利用することができます。

 英語版のOfficeアプリケーションの環境であれば、テンプレートを選択して簡単に展開でき、OSやアプリケーションの更新をお任せできる“フルマネージドサービス”として利用できました。日本語環境に対応させるためには利用者側でイメージを準備し、更新しなければならないというのが難点でしたが、それもすぐにAzure仮想マシンで保守できるように改善されました。

 マイクロソフトは2016年8月12日(米国時間)、以下の公式ブログにおいてAzure RemoteAppのサービス終了を突然発表しました。

 現在、Azure RemoteAppのサイトには、サービス終了のお知らせと上記ブログへのリンクが掲載されています(画面1)。Azure RemoteAppクライアントアプリにMicrosoftアカウントでサインインすると利用できたテストドライブのデモアプリケーション(Office 2013など)もまた、提供されなくなっています(2016年8月30日現在)。

画面1 画面1 Azure RemoteAppのサイトに掲載されたサービス終了のお知らせ。テストドライブのデモアプリケーションも空っぽ

 また、サービス終了の発表後すぐに、Azure RemoteAppのRemoteAppコレクションの新規作成はできなくなりました(画面2)。そして、現在では、RemoteAppのコレクションが存在しないAzureサブスクリプションのポータル(Azureクラシックポータル)には、「REMOTEAPP」のページさえ表示されなくなりました(2016年8月30日現在)。

画面2 画面2 サービス終了の発表がされてすぐに、RemoteAppコレクションの新規作成はできなくなった。現在は、「REMOTEAPP」の項目も非表示に

現在利用中のAzure RemoteAppコレクションは?

 サービス終了の発表前に作成され、運用中のRemoteAppコレクションが存在する場合は、今後1年間は引き続き利用可能であり、サポートが継続されるそうです。しかし、1年後の「2017年8月31日」にはサービスが完全に終了するため、Azure RemoteApp相当のアプリケーション環境が必要なのであれば、それまでに代替のソリューションに移行する必要があります。

 例えば、Azure IaaS環境にWindows Serverのリモートデスクトップサービス環境を展開し、RemoteAppアプリケーションを公開する方法があります。ソフトウェアアシュアランス(SA)付きのリモートデスクトップサービスクライアントアクセスライセンス(RDS CAL)を購入することで、クラウド上のリモートデスクトップ環境のライセンスがカバーされます。Windows ServerのサーバライセンスおよびWindows Server CAL相当はMicrosoft AzureのWindows仮想マシンの価格に含まれるため、用意する必要はありません。

 また、マイクロソフトはリモートデスクトップサービス(旧ターミナルサービス)の長年のパートナーであるシトリックス・システムズが現在開発中の「XenApp“express”」をAzure RemoteAppの後継として位置付けています。XenAppは、リモートデスクトップサービスを、シトリックスのデスクトップ仮想化技術で拡張する製品です。XenApp“express”は、Azureポータル(新ポータル)のMarketplaceから簡単に展開できるようになる予定です。

 詳しくは、シトリックスとマイクロソフト共催のバーチャルイベントのレポートをまとめた以下のブログをご覧ください。

アプリ開発者向けのRemoteIEはどうなる?

 マイクロソフトは、Webアプリケーション開発者向けに「RemoteIE」というサービスを提供しています。RemoteIEは、Azure RemoteAppの技術を利用しており、Windows、Mac、Androidなど、さまざまなプラットフォームからクラウド上で実行される「Internet Explorer(IE)11」を利用できるようにするものです。

 現時点では、RemoteIEは新規にサインアップし、利用することが可能でした(提供元はWest USまたはEast USのみ)。Azure RemoteAppのサービス終了がRemoteIEに影響するのかどうか、今のところ公式のアナウンスはないようです。

画面3 画面3 Azure RemoteAppを利用したRemoteIEは現在でも利用可能

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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