では、ヴイエムウェアはVSANを今後、どのように機能拡張していくのか。ヴイエムウェア関係者が、VMworld 2016で公言していた機能には、次のようなものがある。
VSAN Ready NodeやVxRailに取り組む一方、ヴイエムウェアはVMworld 2016で、Cloud Foundationを発表した。これは比較的大規模な環境のためのHCIだ。
ここであらためて、「なぜヴイエムウェアは2種類のHCIを推進するのか」という疑問が沸く。例えば、Cloud Foundationのためのサーバは、VSAN Ready Nodeのサーバとどう異なるのだろうか。
ヴイエムウェアの答えを要約すると、「大きな違いはない」ということになる。
前出のLi氏は、Cloud Foundationを「HCI 2.0」と呼ぶ。この取り組みの目的は、データセンター(ITインフラ)全体を透過的なものにすることだ。もはやサーバは主役でなく、単なるハードウェア要素の1つとなる。データセンター全体を対象としてインフラ運用を透過的にするためには、サーバハードウェア、データセンタースイッチといったハードウェア、そしてvSphere環境を構成するソフトウェア全てを、初期設定から運用まで、ライフサイクル全体にわたって集中的に制御したい。このため、Cloud Foundationの主役の座は「SDDC Manager」と呼ばれる管理ツールが占めている。
Cloud Foundationのためのサーバの要件は、SDDC Managerで管理ができるようにすることだ。以前Software-Defined Data Center部門担当上席副社長兼ゼネラルマネージャ、Raghu Raghuram(ラグー・ラグラム)氏が筆者に語っていたように、ヒューレット・パッカード・エンタープライズのような独自のハードウェア管理ツールを持っているサーバベンダーはこれをSDDC Managerから管理できるように、API連携してくれればいい。Cloud Foundationのためのサーバと、従来のVSAN Ready Nodeの間の主な違いは、SDDC Managerからの確実な管理を保証するということのようだ。
Li氏がCloud Foundationを「HCI 2.0」と表現するときの「インフラ」とは、サーバとストレージだけではなく、ネットワークを含む。つまり、インフラに含まれる要素がデータセンターを構成するソフトウェア、ハードウェア全体に及んでいる。
また、これまでのHCIは主に利用開始までのプロセスを簡素化し、迅速化することに力を入れてきた。Cloud Foundationでは、運用、拡張、更改といった、その後のプロセスまでを対象としている。
大規模なデータセンター運用になってくると、HCIアプライアンスを単体として導入するときに、管理IPアドレスを始めとした全ての設定を事前に済ませたり、こうした設定プロセスを容易にしたりすればよいという話ではなくなる。
真っさらなサーバやイーサネットスイッチを使ってデータセンターを構築し、ソフトウェアを含めて運用していくプロセス全般にわたる、可能な限りの自動化を進めることになる。
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