Windows Server 2016とWindows 10(特にAnniversary Update)は、OSのコア部分とデスクトップエクスペリエンス環境が共通です。「診断データと使用状況データ」の方針も変わりません。
Windows 10をインストールしたとき、または、アップグレードしたときに「重要なお知らせ」なんて目にしていないと思うかもしれません。ライセンス条項はきちん確認しましたか。Windows 10のライセンス条項の「3.プライバシー、データの使用への同意」には、マイクロソフトによる情報の収集、使用、および開示に関する記述があります(画面8)。現在、Windows 10を使用しているということは、これに同意したということです。
Windows 10では、インストール時のカスタマイズで、情報収集に関する項目を細かく設定できます。「診断データと使用状況データ」のオン/オフも可能ですが、オンは「完全(推奨)」、オフは「基本」という設定です(画面9)。
さらに、Windows 10のHomeエディションやProエディションでは、「セキュリティ」という選択はできません。Proエディションで先ほどの「利用統計情報の許可」ポリシーで「0 - セキュリティ」に設定したとしても、「1 - 基本」で構成されます。
「利用統計情報の許可」ポリシーの説明は分かりにくいのですが、「セキュリティ(0)」の設定が適用されるのは、Windows 10 Enterpriseエディション(エンタープライズ)、Educationエディション(EDU)、Windows 10 IoT(IoT)、およびWindows Server 2016(サーバデバイス)に限られます。
極めて機密性の高いデータを扱うシステムの場合、Windows Server 2016やWindows 10の情報収集に関する方針とは相いれないこともあるでしょう。そのようなシステムはそもそも、インターネットから遮断された、クローズドなネットワークで運用されているはずですし、そうであるべきです。
個人利用の場合でも、マイクロソフトのこの方針は到底受け入れられないということもあるでしょう。その場合は、データ送信先を調べ上げて、ファイアウォールでブロックするというのも1つの手段かもしれません。しかし、もっと簡単な方法があります。単に「ライセンス条項に同意しなければよい」のです。具体的にどういうことかというと、Windows 10をインストールしない、Windows 10にアップグレードしないということです。判断はお任せします。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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