デルとEMCジャパンが、HCIとストレージで柔軟性向上を目指す大量の新製品を国内投入「フラッシュ」「スモールスタート」「クラウド」「ソフトウェア化」がテーマ

デルとEMCジャパンは、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)およびストレージの新製品群を国内発表にした。新製品は、Dell PowerEdgeサーバを採用したHCI製品「Dell EMC VxRail」「Delll EMC VxRack」の新機種、ハイエンドストレージシリーズ「Dell EMC VMAX」の最下位機種である「Dell EMC VMAX 250F/FX」、そしてバックアップストレージ「Dell EMC Data Domain」の新機種、新OSおよび仮想アプライアンス版の強化。

» 2016年11月18日 04時24分 公開
[三木 泉@IT]

 デルおよびEMCジャパンは、両社が10月に米テキサス州オースティンで開催したDell EMC Worldで紹介したハイパーコンバージドインフラ(HCI)およびストレージの新製品群を国内発表にした。新製品は、Dell PowerEdgeサーバを採用したHCI製品「Dell EMC VxRail」「Delll EMC VxRack」の新機種、ハイエンドストレージシリーズ「Dell EMC VMAX」の最下位機種である「Dell EMC VMAX 250F/FX」、そしてバックアップストレージ「Dell EMC Data Domain」の新機種、新OSおよび仮想アプライアンス版の強化。

 デルとEMCの統合は、本社レベルでは終了し、日本では2017年2月が予定されている。2社の製品が大幅に統合される計画は、現在のところない。EMCジャパンのシステムエンジニアリング本部プロダクトソリューション統括部 永長純氏は、「これを顧客自身で選んでくれということではない。課題ややりたいことに合わせて、最適な製品を提案していく」と話す。基本的には、製品群を通じて「フラッシュ」「スケールアウト」「Software Defined」「ハイブリッドクラウド」の要素を推進し、TCO低減、構築・運用負荷の軽減、クラウド利用の最適化を目指していくという。

コンバージドインフラとフラッシュ対応ストレージは、統合後も重要な柱

VxRailとVxRackは、PowerEdge採用モデルへ移行

 HCIでは、既存製品にアプライアンス型の「Dell EMC VxRail」と「Dell EMC VxRack System 1000」がある。従来はサーバにQuanta TechnologyのODMサーバを使っていたが、今回はBroadwellアーキテクチャのIntel Xeon CPUを搭載したDell PowerEdgeを採用した。現時点では既存モデルへの追加という位置づけだが、今後VxRail、VxRackのどちらについても、PoweEdgeベースへ移行していくという。

 VxRailでは、最小構成が従来の4ノードから3ノードになった。これにより最小構成価格は500万円と、従来に比べ25%下がった。また、構成の自由度は飛躍的に向上した。「E(エントリ)」「V(VDI)」「P(パフォーマンス)」「S(ストレージ)」の4シリーズで、CPU(最大44コア)、メモリ容量(最大1536GB)、SSD/HDDストレージ容量(最大48TB)のさまざまな構成が選択できる。NVIDIAあるいはAMDのGPUも利用できる。全モデルで100V電源にも対応する。ソフトウェア機能は従来と同様だが、後述のData Domain仮想アプライアンス版を動かすこともできる。

 ScaleIOをストレージとして使うラックスケールのHCIであるVxRack System 1000は、PowerEdge R630とR730xdの組み合わせにより、新たに20以上の構成が可能になった。また、オールフラッシュ構成では、従来と同等の価格で、2.5倍のストレージ容量を利用できるようになったという。

VMAX 250F/FXはハイエンドストレージのエントリ版プラスアルファ

 ハイエンドストレージVMAXではオールフラッシュ構成の「VMAX All Flash」で、新たに最下位機種の「VMAX 250F」「VMAX250FX」が加わった。最下位機種だが、密度は高いという興味深い特徴を持っている。なお、「F」と「FX」の違いはソフトウェアパッケージに含まれる機能。

 VMAX 250F/FXは10Uあるいは20Uの構成で、これ以上に拡張することはできない。だが最小構成は11TBで、既存製品の53TBに比べ、スモールスタートに適している。また、7.68TBおよび15.36TBのSSBに対応するため、20Uで最大1PBの容量を実現する。従来の「VMAX450F/FX」が4ラックで最大容量2PB、「VMAX 850F/FX」が8ラックで4PBであるのに比べると、大まかにいって4倍の密度ということになる。また、既存製品は特殊ラックを必要としていたが、新製品は標準の19インチラックに収まる。このため、ラックの空き部分にサーバやスイッチを搭載するなど、スペースを有効活用できる。

 ソフトウェアパッケージは、他のVMAX All Flashと同一。ただしメインフレーム接続には対応していない。価格は最小構成の11TBで5200万円。

Data Domainでは仮想アプライアンス版強化、クラウドへの階層化も

 バックアップストレージの「Dell EMC Data Domain」では、ハードウェアアプライアンス型製品で「Data Domain 6000」「Data Domain 9000」の2シリーズを発表した。メタデータ管理にフラッシュを用いることで、ランダムアクセス性能が大幅に向上したという。また、データ保護ソフトウェアの「Dell EMC Avamar」を用いた場合、VMware vSphereの仮想マシンファイルVMDKをData Domain上で直接起動できるようになった。

 一方、仮想アプライアンス版では新バージョン「Data Domain Virtual Edition(DDVE) 3.0」を国内発売した。ハイパーバイザとしては、VMware ESXiに加え、Hyper-Vに対応した。どこでも動かせるが、事前検証済みのPowerEdgeサーバとの組み合わせの他、VxRail上での利用はフルサポートの対象となる。新バージョンは容量1TBの最小構成で1インスタンス21万円(税別)。

 Data Domainでは、新OSバージョンの「Data Domain OS 6.0」で、新たに「Data Domain Cloud Tier」というソフトウェアが提供される。従来もData Domainからパブリッククラウドへバックアップはできたが、新ソフトウェアではパブリッククラウドにまたがる自動データ階層化管理が実現した。これによって、パブリッククラウドのストレージサービスを、別途管理することなく、事実上Data Domainのデータ容量に組み込むことができる。最大論理容量は150PBという。また、アプリケーション管理者がアプリケーションのユーティリティ/コマンドによって、セルフサービス型でData Domainに直接バックアップ/復元作業を実施できる「DDBoost for Enteprise Applications」では、Oracle、SQL Server、SAP、SAP HANA、IBM DB2に加え、Hadoopに対応した。

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