ソラコムは2016年⒒月29日(米国時間)、AWS re:Invent 2016で、データ収集・蓄積サービスの「SORACOM Harvest」、および同社の米国進出を発表した。
ソラコムは2016年⒒月29日(米国時間)、AWS re:Invent 2016で、データ収集・蓄積サービスの「SORACOM Harvest」、および同社の米国進出を発表した。
日本では11月30日に提供開始したSORACOM Harvestは、ソラコムのIoT用SIMである「SORACOM Air」を搭載したデバイスからデータを収集し、同社のサービス上で蓄積。SORACOMコンソールで、数値をグラフとともに表示できるというもの。APIを通じて外部から取得することも可能。
ソラコム代表取締役社長の玉川憲氏によると、SORACOM Harvestを提供する目的は、IoTサービスを企画する人々が、特に実証環境を迅速に構築できるようすることだという。
同社はこれまでIoT端末の接続に関する機能を提供してきた。IoTサービスのシステムは、Amazon Web Services(AWS)をはじめとしたクラウドサービスなどの上で、ユーザーが構築する必要がある。だが、IoTをやる人々が必ずしも例えばAWSの利用に慣れているわけではなく、サービスシステムの構築が大きな負担になり得る。特に実証実験段階では、時間的にもボトルネックになることが考えられる。そこでIoTを、とりあえず同社サービスで完結する形で始められるように、新サービスを提供するのだという。
Harvestでは、IoT端末にSORACOM Airを装着し、ユーザーコンソールでこのSIMをHarvestの利用をオンにしたグループに追加して、指定するエンドポイントに端末からデータを送信するだけで、蓄積と可視化ができるようになる。
テキストあるいはバイナリのデータを、HTTP、TCP、あるいはUDPで送信する必要があるが、これだけで、ユーザーコンソール上で受信時刻、SIM ID(IMSI)とともに、逐次確認できるようになる。また、データがJSON形式であれば、コンソール上で自動的にグラフが表示される。
利用料金は、1 SIM当たり1日5円で、これには1日2000回のデータ書き込みが含まれている。つまり、例えば1端末が1分に1回データを送信するケースでは、1端末1日5円だけでHarvestを利用できる。1日2000回を超えた場合は1回0.004円が加算される。
Harvestは、少なくとも現時点では、個々のデータの保存期間は40日、1回に送信できるデータのサイズは1KBまでという制限がある。ただし、外部からAPIでデータを取得すれば、保存期間の制限を気にする必要はない。
Harvestを、「システム構築はやりたくない、IoTに集中したい」という組み込み系の人たちがターンキー的に使える本格サービスにしなかった背景について玉川氏は、豊富な機能を作り込むことを避け、迅速にサービスを展開できることを重視したと説明する。また、データサイズに1KBといった制限を設けることで、低料金を実現できたという。今後はユーザーニーズを確かめながら、必要に応じてHarvestの拡張、あるいは新サービスの提供を行っていきたいと話している。
ソラコムが同時に発表した米国進出は、2つの側面を持つ。まず、同社がPoC(Proof of Concept)用として限定的に提供していたグローバルSIMによるサービスの料金体系を決定し、本格展開を始めたこと。第2に、グローバルSIMの最初の販売国として米国を選定し。現地のスタッフによるマーケティングやサポートといった事業活動を展開していくことだ。
同社は11月29日(米国時間)に米Amazon.comで、グローバルSIMの販売を開始した。同時に、グローバルSIMの料金体系を発表した。このSIMは、世界120カ国にローミングが可能。米国ではAT&T、T-Mobileの3G/2Gネットワークが利用できる。これまでのサービスと同様、サービスコンソールからSIM/接続端末を一括管理できる。各SIMについては接続地域が表示され、基地局情報が取得できる場合は地図上に場所が示される。そして、ソラコムが現在提供しているサービスが全て利用できる。
料金は、既存サービスよりも、条件が緩和されている部分がある。具体的には、SIMを有効にした後も、データを送信しない限り、最長1年まで1日単位の料金が掛からない。これは、SIMを製品に組み込んで販売する企業にとって大きなメリットがあるとしている。
データ送信が始まった後は、1日0.006ドル、そして1MB当たり0.08ドルの通信料金が発生する。既存サービスのような時間帯、上り下りによる料金差はない。
すでに、IT農業を展開するKakaxiという企業が、北米の農場でこのSIMを利用しているという。玉川氏はまず、西海岸のスタートアップ企業に、同社サービスのメリットを訴えていきたいとしている。
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