ガートナー ジャパンが、国内エンタプライズアプリケーション開発におけるユーザー意識調査結果を発表。納期への関心が低かった半面、品質とコストに対する問題意識の高さが浮き彫りとなった。今後のIT部門は、どう変革していくべきかを提言した。
ガートナー ジャパンは2017年2月14日、国内のエンタープライズアプリケーション開発に関するユーザー意識調査結果を発表した。
同調査は、日本企業のIT部門マネジャーを対象に、エンタープライズアプリケーション開発における「品質(Q)」「コスト(C)」「納期(D)」のうち、今後、どれを最も重視するかを聞き、IT部門の関心事や抱える課題の現状をまとめたもの。品質、コスト、納期のどれを最も重視するかについては、「アプリケーションの特性により異なる」が38%で最も多かった。
品質、コスト、納期の項目別では、品質とコストがそれぞれ31.2%、26.8%と関心が高く、対して納期は4%と低かった。ガートナーは、「昨今、開発期間を短縮する重要性が指摘されている。しかし、開発の現場では、開発スピードよりも、品質とコストの方が差し迫った問題だと認識している」と分析する。
次に、それらの改善のために意識改革が必要な組織はどこかを聞くと、機能部門を含めた「ビジネス部門」が最も多い31.9%で、「IT部門」は25%、「経営層」は23.3%となった。また、「外部のシステムインテグレーター(SIer)やベンダー」と回答した割合も19.9%に上った。調査により、「現場のIT部門は、自部門だけで品質、コスト、納期、全ての課題を改善するのは難しく、ビジネス部門や経営層、外部のSIer/ベンダーの支援が必要」という意識を持っていることが分かった。
今回の結果について、ガートナー ジャパンのリサーチ部門でリサーチディレクターを務める片山治利氏は、「企業のIT部門は、納期への関心が低い反面、品質とコストに高い問題意識を持っていることが浮き彫りになった。これは、品質偏重や過剰なコスト意識があるわけではなく、ユーザー企業がアプリケーション開発の品質やコストの現状に対して抱いている問題意識の表れといえる。基幹業務向けアプリケーションでは、新しい開発手法やツールを簡単には採用できない事情はある。しかし、障害やバグなどの品質の問題、コスト高の問題を解決できなければ、今後のデジタルビジネスの時代に求められる、ビジネス環境の変化に迅速に対応するためのアプリケーション開発は実現できない。IT部門はその解決のために、本来実施すべき役割の他に、今までの視点とは異なるアクション、例えば新たな開発手法やツールの採用を積極的に取り入れる姿勢を持つべきだ」と述べ、IT部門は品質やコストの課題を早期に解決し、「ビジネスへ貢献するアプリケーションを開発できる次元」にまで、自らをシフトしていかなければならないと提言した。
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