米Googleは2017年3月8日(米国時間)、同社のクラウドサービスに特化したカンファレンス、Google Cloud Next ’17を開幕した。初日には、AI関連で発表が集中した他、HSBCやeBayなどのユーザーが登場、Google Cloud Platformの活用について話した。
米Googleは2017年3月8日(米国時間)、同社のクラウドサービスに特化したカンファレンス、Google Cloud Next ’17を開幕した。
初日の基調講演で、Google CloudのCloud AI&L担当チーフサイエンティスト、フェイフェイ・リー(Fei-Fei Li)氏は、「AIを民主化し、できるだけ多くの開発者が簡単に使えるようにする」というテーマで話し、AI関連でいくつかの発表を行った。
具体的には、Cloud ML Engineの一般提供開始(GA)、ビデオに登場するオブジェクト(「犬」「自転車」「海岸」など)を自動的に認識、タグ付けするVideo Intelligence APIの提供、データサイエンティストのコミュニティであるKaggleの買収、顧客の高度なAIプロジェクトをグーグルが直接支援するAdvanced Solution Labを発表した。
Video Intelligence APIでは、画像よりはるかに難しいビデオにおけるオブジェクトの認識と検索ができる。多数のビデオを対象とした場合でも、オブジェクト名で検索すると、これを含むビデオのリストだけでなく、そのオブジェクト名が登場するシーンまで示される。
同じ基調講演で、米グーグルCEOのスンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)氏は、Google Cloudについて「グーグルクラスのコンピューティング、セキュリティ、ビジネスツールを広く提供するもの」と表現、同社の活動の自然な拡張だという認識を示した。
米グーグルのクラウドビジネス統括責任者、ダイアン・グリーン(Diane Greene)氏は、2017年2月末に発生したAmazon Web Services(AWS)の障害に触れ、Google Cloud Platform(GCP)は2016年における最も可用性の高いクラウドに認定されたと話した。Google Searchは高い可用性を前提に設計されている。Google Cloudでは、この延長線上で、可用性の高いプラットフォームを顧客に提供してきたとする。
基調講演では、GCPやG Suiteのユーザーとして、HSBC、eBay、ディズニー(Disney Consumer Products and Interactive Media)、ホームデポ、ベライゾンが登場した。
HSBCはデータ分析で、2016年後半からGCPのGoogle Big Queryなどを使い始めた。当初の用途には、マネーロンダリング対応、リスク分析、財務流動性のリポーティングなどがあるという。同社はリレーショナルデータベースからHadoop/Spark/hiveにデータ分析基盤を移行し、自社で運用してきたが、「今後本当にクラウド事業者と競争するようなことを続けるのか」と自問した結果、GCPの採用に至ったという。
なお、パートナーとして基調講演に登壇したSAPは、SAP HANAがGCPで認定されたことを発表。Cloud Foundryを用いた開発環境であるSAP Cloud PlatformもGCP上で稼働するようになるという。
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