重要なセキュリティ更新を含む品質更新プログラムを受け取るには、サポートされるWindows 10のバージョンを実行している必要があります。現時点では、これまでリリースされたWindows 10の3つのバージョン全てがサポート対象ですが、間もなく初期リリース(バージョン1507)のサポートが終了します。
しかし、場合によっては、サポート対象か否かに関係なく、特定のバージョンのWindows 10の環境を維持したいということがあるでしょう。例えば、アプリケーションのテストや互換性確認、トラブルシューティング、以前の動作仕様の確認などの目的のためにです。
前述のように、CBBやWindows Update for Businessで機能更新プログラムを延期したとしても、Microsoft Updateから更新プログラムを受信している限り(Windows Server Update Servicesなどで対象の更新プログラムをコントロールしていない限り)、いつかは機能更新プログラムによって新しいバージョンにアップグレードされます。機能更新プログラムを永久にブロックするには、以下のURLからダウンロードできる「Show or hide updates」ツールの「Hide updates」機能を利用できます。
Windows Updateによって機能更新プログラムが検出、ダウンロードされる前に、このツールを実行して機能更新プログラムのダウンロードを事前にブロックできれば、それでOKです。しかし、機能更新プログラムが既にインストール対象として検出され、ダウンロードが始まってしまった場合は、ブロックするのは容易ではありません。「Show or hide updates」ツールでブロックしたとしても、既に検出されてしまったものは、引き続き試行されるでしょう。
既に検出されてしまった機能更新プログラムがインストールされないようにブロックするには、次の手順で操作します。
「設定」の「更新とセキュリティ」から「Windows Update」を開き、既に機能更新プログラムのダウンロードやインストールの準備が始まっている場合は、コマンドプロンプトを管理者として開き、次のコマンドラインを実行して、Windows Updateを強制的に停止します(画面2)。うまく停止できない場合は、ネットワークを切断した状態でコンピュータを再起動するとよいでしょう。
net stop wuauserv
(またはnet stop "Windows Update")
「設定」の「更新とセキュリティ」から「Windows Update」を開き、Windows Updateが動作していないことを確認したら、「Show or hide updates」ツール(wushowhide.diagcab)を実行して、「Hide updates」を選択し、ブロックしたい機能更新プログラムを非表示にします(画面3)。
機能更新プログラムを非表示にしたら、既に検出されてしまった更新プログラムをクリアするために、「C:\Windows\SoftwareDistribution」をリフレッシュします。それには、コマンドプロンプトを管理者として開いて、次のコマンドラインを実行します(画面4)。
net stop wuauserv(またはnet stop "Windows Update") ren C:\Windows\SoftwareDistribution SoftwareDistribution.old(「アクセスが拒否されました」で失敗したら、net stopから再実行) rd C:\Windows\SoftwareDistribution.old /S shutdown /r /t 0
コンピュータを再起動後、Windows Updateを実行して、機能更新プログラムが検出されないことを確認します(画面5、画面6)。なお、Windows 10のWindows Updateはいろいろと評価が分かれますが(多くは悪い方に)、累積的な更新プログラムが基本になっている点は多いに評価できると思っています。
画面5は、Windows 10初期リリースの新規インストール後の初回(機能更新プログラムはブロック)のWindows Updateですが、最新の累積的な更新プログラムと、2つのセキュリティ更新プログラムの実質3つの更新プログラムだけで、最新のビルド(10240.17319)に更新できるのです。以前のバージョンのWindowsなら、サービスパック(SP)やInternet Explorerの新しいバージョン、そしてSP以降の膨大な数の更新プログラムをインストールするのに、果てしない時間を費やす必要がありました。
筆者はこの方法で、Windows 10初期リリースからWindows 10 November UpdateまたはWindows 10 Anniversary Updateへのアップグレード、およびWindows 10 November UpdateからWindows 10 Anniversary Updateへのアップグレードをブロックすることができました。
Windows 10 Creators Updateがリリースされた後は、Windows 10 Creators Updateの機能更新プログラムをブロックする必要もあります。現在のWindows 10バージョンでCBBに設定しておけば、Windows 10 Creators UpdateがCBB向けにリリースされるまでは「Show or hide updates」ツールを単純に実行するだけで、Windows 10 Creators Updateへのアップグレードを永久にブロックできるはずです。
「Show or hide updates」ツールは、特定の機能更新プログラムを永久にブロックできるわけではないかもしれません。もし、再び非表示にしたはずの機能更新プログラムが検出された場合は、同じ方法を繰り返してみてください。
ところで、Windows 10 November Update以降は「設定」の「システム」にある「バージョン情報」や「winver.exe」の出力に、「バージョン」(年月の形式、例:1511、1607)と「OSビルド」(ビルド番号.リビジョン番号の形式、例:10586.839、14393.969)が表示されるようになっています。これらの情報は、Windows 10初期リリースのUIには表示されません。Windows 10初期リリースの「winver.exe」は、バージョン情報として「バージョン10.0(ビルド10240)」を示します。
Windows 10初期リリースで、リビジョン番号までの詳細なバージョン情報を取得するには、レジストリキー「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion」の「CurrentBuild」と「UBR」の値を参照します。Windows 10 November Update以降の「winver.exe」はこれらの値を参照しており、Windows 10初期リリースにも存在します(画面7)。
また、同様の情報は、「BuildLabEx」の値の文字列のプレフィックスから判断することもできます。ただし、「BuildLabEx」の値は常に正しいわけではないようなので注意してください。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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