Oracle Databaseのトラブル調査で利用することが多いログファイル格納先は以下の通りです(図1)。バージョンによってログファイルの出力(格納)先は少し異なりますが、まずはこの図を参考に格納場所を確認してください。
ファイル名 | 概要 | 対策例 | 格納先 |
---|---|---|---|
アラートログ | インスタンスで発生したエラーや、起動/停止/パラメーター変更などの管理操作のメッセージ履歴。初期化パラメーターやバージョン12.1.0.2以降では適用済みの個別パッチの情報も出力される | トラブル調査では、初めにトラブル発生時間帯前後のアラートログにエラーやメッセージの出力がないかどうかを確認する | 10gR2(10.2)以前:(図1の8) 11gR1(11.1)以降:(図1の4) |
トレースファイル | インスタンス上の各プロセス(バックグラウンドプロセス/サーバプロセス)が個別のトレースファイルに情報を出力する。Oracle DatabaseやOSのバージョンの情報もヘッダに出力される | アラートログに「Errors in file XXX.trc」「More info in file XXX.trc」のような出力がある場合や、特定のトレースファイルが肥大化していれば、そのプロセスの動作に問題がありメッセージが書き込まれている可能性があるため、そちらも確認する | 10gR2(10.2)以前:バックグラウンドプロセスは(図1の9)、サーバプロセスは(図1の10) 11gR1(11.1)以降:どちらも(図1の5) |
インシデントファイル | クリティカル(致命的)なエラー(V$DIAG_CRITICAL_ERROR/ORA-00600/ORA-00700)が発生した場合には、そのエラーにインシデントIDを割り当て、インシデントIDごとのディレクトリが作成され、エラー調査用のインシデントファイルが格納される | アラートログに「Incident details in: XXXX.trc」のような出力がある場合に確認する | 10gR2(10.2)以前:(存在なし) 11gR1(11.1)以降:(図1の6) |
監査ファイル | データベースに対するユーザーのアクションを記録するファイル。監査の設定を明示的に行っていない場合でも、データベースの起動と停止、SYSDBA/SYSOPER権限でログインしたユーザーの情報が記録される(必須監査と呼ばれる) | 意図しないデータベースに対する操作の原因調査に使用する。運用管理者が必須監査が行われていることを認識しておらず、ディスクを圧迫する原因になっていることが多い | (図1の1)または(図1の7)(初期化パラメーター「audit_file_dest」で確認) |
リスナーログファイル | クライアントからの接続要求(クライアントのホスト名や接続先インスタンスのSIDなど)と、その要求の成功可否が出力される。また、lsnrctlコマンドによって行われたリスナーの管理操作も出力される | クライアントからの接続が完了しない場合に、接続要求がリスナーまで到達しているか、リスナーが正常に動作できているかを確認する。クライアントからの接続要求ごとに追記されるため、定期的に手動でローテートしないと肥大化しやすい | 10gR2(10.2)以前:(図1の2) 11gR1(11.1)以降:(図1の3) |
トラブル調査を行う上では、各ログファイルには「どんな情報が出力」され、そもそも「どこに格納されているのか」を認識することがトラブル解決対策の第一歩になります。
ちなみに、サポートセンターなどの第三者に調査依頼をする際には、OSとOracle Databaseのバージョン、設定されている初期化パラメーターの情報を確認するために何にせよ必要となる「アラートログ」と「トレースファイル」は最初から送るようにするとよいでしょう。初動対応時間をさらに短縮できます。
今回は、まず「ログファイルの出力先」を紹介しました。次回から、出力内容の詳細を解説する予定です。
株式会社アシスト サービス事業部 サポートセンター。2007年にアシスト入社後、Oracle Databaseのサポート業務に従事。2017年現在はサポート業務の傍ら、顧客の未解決トラブルを1つでも多く減らせるよう、サポートセンターに蓄積されている調査のノウハウを社内外に伝える活動を行っている
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.