シスコがユニークな会議端末Cisco Spark Boardを国内発表、KDDIはクラウドPBXを提供へモバイル端末で自動認証

シスコシステムズは2017年4月13日、ユニークなオールインワンの会議端末「Cisco Spark Board」を国内発表した。また、KDDIは、Cisco Spark、Cisco Spark Boardを2017年7月に販売開始するとともに、これを使ったクラウドPBXサービスを提供する予定であることを明らかにした。

» 2017年04月14日 09時22分 公開
[三木泉@IT]

 シスコシステムズは2017年4月13日、ユニ―クなオールインワンの会議端末「Cisco Spark Board」を国内発表した。また、KDDIは、Cisco Spark、Cisco Spark Boardを2017年7月に販売開始するとともに、これを使ったクラウドPBXサービスを提供する予定であることを明らかにした。

 Cisco Spark Boardは、同社が提供しているクラウドコラボレーションサービス「Cisco Spark」との親和性を高めた製品で、モバイル端末とのペアリングなどにより、会議にまつわる面倒を排除しようとしている点が大きな特徴。シスコでは、「働き方改革のためには会議の改革が必要」とし、この製品では会議中のアナログな作業をデジタル化することで、生産性を高められるとしている。

 Cisco Spark Boardは、ビデオ会議、画面共有に加え、指やペンで描くことのできるホワイトボード機能を備えたオールインワンのディスプレイ端末。55インチと70インチがあるが、大型のスマートフォンのように完全に一体型であるため、PCとディスプレイを接続した製品のようなケーブリングの煩雑さがない。画面共有でも、ユーザー端末のCisco Sparkアプリから超音波無線で接続できる(HDMIケーブルでの接続も可能)。このため、完全にケーブルフリーの会議環境が得られる。

ディスプレイは4K。マルチタッチ対応で、複数の同時書き込みができる。ボタンは画面下の1つだけ。あとは画面へのタッチで操作する

 操作もスマートフォンと同様、全てタッチで行うようになっている。メインメニューでは「ビデオ会議」「ホワイトボード」「画面共有」のアイコンのみを表示。いずれの場合でも即座に始められるようにしている。

 おそらくCisco Spark Boardの最大の特徴は、モバイル端末とのペアリングによるユーザー認証/参加確認だ。Cisco Spark Boardの近くに会議参加者が来ると、各人の端末上のCisco Sparkアプリとの間の通信を通じ、クラウド上のCisco Sparkコラボレーションサービスがユーザーを認証し、Cisco Spark Boardにもひも付けられるようになっている。その後は、例えばCisco Sparkサービス上の特定部署あるいはチーム専用仮想ワークスペースから資料を呼び出して、表示するなどができる。

 このため、例えば営業活動で、客先にCisco Spark Boardがあれば、営業担当者はログイン操作などなしに、Cisco Spark サービス上の自社の製品資料が保存された仮想ワークスペースにアクセスし、即座にその資料を映し出すといったことができる。

 Cisco Spark BoardはCisco Sparkサービスと統合されているため、会議にはCisco Sparkアプリを動かすあらゆる端末から参加できる。なお、モバイル環境からのアドホックユーザーの会議参加については、WebExと同様、電子メールなどによる招待で行うことになる。

KDDIはCisco Sparkを使った内線通話サービスを提供へ

 KDDIは2017年7月に、Cisco SparkとCisco Spark Boardを販売開始する。同時に、Cisco Sparkで外線通話を利用する場合、通話料が安くなるサービスを提供する。その後できるだけ早く、Cisco Sparkを使ったクラウドPBXサービスを提供するという。

 これはCisco Sparkサービスを音声インフラとして活用し、事業所の固定電話回線やPBXをなくすことのできるサービス。PBXの機能はCisco Sparkのクラウドサービスが果たす。さらにこれを、KDDIの音声基盤とつなげる。

Cisco Sparkは電話サービス会社にかかわらず使えるが、KDDI/auを使えばコストを抑えられるというメリットを、KDDIは打ち出そうとしている

 内線通話はIP電話なので都度通話料はゼロ。外線通話にはKDDIの固定電話番号が割り当てられ(番号ポータビリティも使える)、市外局番を保ちながら、電話関連コストの削減ができる。

 KDDIはこれまでも、「Cisco Unified Communications Manager(CUCM)」を使ったPBXホスティングサービスを提供してきた。だが、インテグレーションが必要となり、小規模事業所には適用しにくかった。

 新サービスでは中小企業や大企業の小規模拠点にクラウドPBXのメリットを提供することを目指す。実際、大企業の小規模拠点からの引き合いが強いという。通常、こうしたサービスでは外線に本社の市外局番が割り当てられてしまうが、新サービスでは事業所の存在する地域の市外局番を使って、外線通話ができるという。

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