IBMが、企業が「映像」からビジネス洞察を引き出せるよう支援する「Watson」ベースの新クラウドサービスを発表。2017年内の正式版リリースを予定する。
米IBMは2017年4月24日(米国時間)、国際放送機器展「NAB Show」で、同社のコグニティブコンピューティング技術「IBM Watson」をベースにしたクラウドサービスにより、企業が高度な分析によって動画から新たな洞察を引き出せるよう支援する計画を発表した。
IBMはかねてより、AI(Artificial Intelligence:人工知能)とIBM Cloudを組み合わせ、メディアやエンターテインメント企業が非構造化データの意味を理解し、視聴者向けのコンテンツについて、十分な情報を基に意思決定を行えるよう支援することに力を入れている。
IBMが2017年中のリリースを予定する新サービスは、Watsonのコグニティブ機能を使って動画に関する深い分析を行い、キーワード、概念、画像、トーン、感情的な文脈などのメタデータを自動抽出するというもの。このサービスは、洞察を引き出すために幅広いAI機能(言語、概念、感情、ビジュアル分析など)を適用する点に独自性があるとIBMは述べている。
新サービスでは、Tone Analyzer、Personality Insights、Natural Language Understanding、Visual RecognitionといったWatson API(Application Programming Interface)が使用される。また、Watsonで生成されたデータを分析し、文脈に基づいて動画を論理的なシーンに分割するIBM Researchの新技術も使われる。既にこの技術を用いたシーン特定の性能は、2017年4月時点で市場投入されている製品で得られるレベルを超えているという。
例えばスポーツ放送局では、映像から言語、感情、画像の分析を行い、自動的に歓喜や興奮のシーンのみを切り取ってパッケージ化し、こうしたシーンの宣伝用クリップを迅速に作成できるようになる。以前は映像編集に長けた担当者が、人力で個々の映像の内容をチェックし、クリッピングするシーンを特定しなければならなかった。
この他、メディアやエンターテインメント企業では、自社のコンテンツライブラリの管理体制をいっそう向上させられるようになる。例えば、コンテンツライブラリを詳細に分析し、自動分類できるようになることで、特定の興味を満たせるかどうか、広告効果は本当にあるのか、といったように、映像単位、クリップ単位のさらなる価値向上につなげられるようになるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.