今すぐできるWannaCry対策セキュリティパッチ適用詳説(2/3 ページ)

» 2017年05月23日 05時00分 公開
[島田広道デジタルアドバンテージ]

対象システムのWindows OSを特定する

 ここからはパッチ適用対象PCでの作業となる。

 まずは適用すべきパッチを特定するために、インストールされているWindows OSを特定しよう。コマンドプロンプトを開いたら、systeminfoというコマンドを実行する。

C:\>systeminfo

ホスト名:               USERPC01
OS 名:                  Microsoft Windows 7 Ultimate ……(1)
OS バージョン:          6.1.7601 Service Pack 1 ビルド 7601 ……(2)
OS 製造元:              Microsoft Corporation
OS 構成:                メンバー ワークステーション
OS ビルドの種類:        Multiprocessor Free
……中略……
システム モデル:        DG45FC__
システムの種類:         X86-based PC ……(3)
プロセッサ:             1 プロセッサインストール済みです。
……後略……

systeminfoコマンドでWindows OSを特定する
これはWindows 7の例。
  (1)「OS 名」でWindows OSのバージョン(XP/Vista/7……/10など)が確認できる。
  (2)「OS バージョン」にはOSのService Packレベルが記載されている。Windows 7/Server 2008 R2以前の場合は、最新のService Packが適用済みか確認しておく。またWindows 10の場合は、ここに記されているビルド番号からWindows 10のバージョン(1507/1511/1607/……)を特定する必要がある(後述)。
  (3)「システムの種類」が「X86-based PC」であれば32bit版、「x64-based PC」なら64bit版である。

 Windows 10の場合は下表を参考にして、(2)に記載されているビルド番号から、そのバージョンを特定しておこう。

ビルド番号 Windows 10のバージョン
10240 Windows 10 バージョン1507(TH1。最初のWindows 10)
10586 Windows 10 バージョン1511(TH2)
14393 Windows 10 バージョン1607(RS1、Anniversary Update)
15063 Windows 10 バージョン1703(RS2、Creators Update)
ビルド番号からWindows 10のバージョンを判定する
マイクロソフトの「Windows 10 のリリース情報」から抜粋。Windows 10の場合、適用すべきパッチを特定するには、そのバージョンを特定する必要がある。

対策パッチが適用済みかどうかを調べる

 次に、対策パッチが既に適用されていないか確認する。それにはwmicコマンドで適用済みパッチ一覧をリストアップし、その中に対策パッチが含まれているかどうかで判断できる。

C:\>wmic qfe list

Caption                                        CSName     Description      FixComments  HotFixID   InstallDate  InstalledBy                InstalledOn  Name  ServicePackInEffect  Status 
http://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=133041  USERPC01   Update                        KB2849697               NT AUTHORITY\SYSTEM        3/28/2014                                      
http://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=133041  USERPC01   Update                        KB2849696               NT AUTHORITY\SYSTEM        3/28/2014                                      
http://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=133041  USERPC01   Update                        KB2841134               NT AUTHORITY\SYSTEM        3/28/2014                                      
……後略……

wmicコマンドによる適用済みパッチ一覧の表示例
適用済みパッチの情報が1行ずつ表示される。

 一方、対策パッチのKB番号は次の通りだ。

OS 対象パッチのKB番号
Windows XP KB4012598
Windows Vista KB4012598
Windows 7 KB4012212、KB4012215、KB4015549、KB4019264のいずれか
Windows 8 KB4012598
Windows 8.1 KB4012213、KB4012216、KB4015550、KB4019215のいずれか
Windows 10 バージョン1507 KB4012606、KB4015221、KB4016637、KB4019474のいずれか
Windows 10 バージョン1511 KB4013198、KB4015219、KB4016636、KB4019473のいずれか
Windows 10 バージョン1607 KB4013429、KB4015217、KB4015438、KB4016635、KB4019472のいずれか
MS17-010セキュリティ修正を含むパッチのKB番号(クライアントWindows OS)
これは2017年5月中旬の情報だ(6月には新しい累積パッチがここに加わるだろう)。KB番号が複数ある場合は、いずれかのKB番号を持つパッチが1つでも適用済みなら、MS17-010のセキュリティパッチは適用済みだと判断できる。

OS 対象パッチのKB番号
Windows Server 2003/2003 R2 KB4012598
Windows Server 2008 KB4012598
Windows Server 2008 R2 KB4012212、KB4012215、KB4015549、KB4019264のいずれか
Windows Server 2012 KB4012214、KB4012217、KB4015551、KB4019216のいずれか
Windows Server 2012 R2 KB4012213、KB4012216、KB4015550、KB4019215のいずれか
Windows Server 2016 KB4013429、KB4015217、KB4015438、KB4016635、KB4019472のいずれか
MS17-010セキュリティ修正を含むパッチのKB番号(Windows Server)

 これらのKB番号がwmicのリストに含まれているかどうか確認するには、KB番号一覧のテキストファイルを作ってから、forとwmic、findコマンドを組み合わせるという方法がある。

C:\temp>type list-kbno.txt ……あらかじめ上表のKB番号一覧をテキストファイルにしておく
KB4012598
KB4012212
……中略……
KB4015438
KB4019472

C:\temp>wmic qfe list > list-patches.txt ……適用済みパッチ一覧をテキストファイルにする

C:\temp>for /F %i in (list-kbno.txt) do @(type list-patches.txt | find /I "%i") ……適用済みパッチ一覧で各KB番号を検索し、見つかったものを表示する
http://support.microsoft.com/?kbid=4019264  USERPC01  Security Update               KB4019264               NT AUTHORITY\SYSTEM   5/15/2017



 もしforから始まるコマンドラインが何も出力しなければ、対策パッチは未適用と判断できる。逆にパッチ情報の行が出力され、そのKB番号が上表の対象OSの欄に含まれるなら、適用済みということだ。

USBメモリから対策パッチを適用する

 未適用だったら、調べておいた対象OS/バージョン/アーキテクチャに合わせて、USBメモリに保存してあるパッチを選び、実行する。それには単にエクスプローラで対象のパッチをダブルクリックするだけだ。

 起動するとウィザード画面が表示されるので、指示に従ってウィザードを完了させる。たいていはシステムの再起動が求められるので、その通り実施すること。

パッチ適用ウィザード(1/4)
パッチ適用ウィザード(2/4)
パッチ適用ウィザード(3/4)
パッチ適用ウィザード(4/4) MS17-010のセキュリティパッチを適用する
これはWindows 7の例。他のプラットフォームでもウィザードに従って実行すればよい。

 システムが再起動したら、前述のwmicコマンドで適用済みと判定できるか確認しよう。

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