5分で絶対に分かるオブジェクトストレージ5分で絶対に分かる(5/5 ページ)

» 2017年06月30日 05時00分 公開
[岡田威徳,日本アイ・ビー・エム]
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オブジェクトストレージはどんなシーンにマッチするの?

 では最後に、オブジェクトストレージはどんなワークロードにマッチするのか、代表的な適用シーンを紹介します。

 オブジェクトストレージは、もともとインターネット経由のWebサービス分野で育った技術ということもあり、「情報の共有」を最も得意としています。例えば「ファイルコラボレーション」などと呼ばれている分野です。具体的には、組織の内外、業務や拠点、地域や国などをまたがって、関係者同士が必要なデータを、いつでも簡単に共有・活用できるようになるため、「よりスピーディにビジネスを行いたい」といったニーズに大きく寄与します。

 「安全・安価で大容量」という特長から、バックアップやアーカイブの基盤としても向いています。日々増大していくデータをコスト効率良く蓄積できる上、必要なデータをいつでも簡単に取り出せるわけですから、テープ保管によるバックアップ/アーカイブより、安くて便利なことは言うまでもないでしょう。

 特に昨今は、「ただ取っておくだけ」で死蔵させてしまいがちだったバックアップ/アーカイブデータを分析して、新たなビジネス価値を発見する取り組みも重視されています。その点、画像や音声、テキストのような非構造化データを含めて大量に蓄積しておき、必要なときに取り出せるという特長は、アナリティクス用途のストレージとしても大いに役立ちます。

ALT 膨大なデータを蓄積し、組織や地域、国をまたがって必要な情報を共有できる。バックアップ・アーカイブ用途にも適しているため、死蔵してしまいがちなデータをいつでも呼び出して分析に役立てることもできる

 半面、現時点では「データへのアクセス頻度が高いシステム」には不向きとされていますが、その優れた可用性、安定性に着目して、災害対策やバックアップの仕組みなしで、低コストで止まらないシステムを作る試みも進みつつあるなど、オブジェクトストレージの適用パターンにはさまざまな可能性があります。

 データの爆発的増大とクラウド化が進む中、長年にわたって記憶媒体のテクノロジーに携わってきた筆者としては、今後の発展によっては高パフォーマンスが要求されるシステムでも活用されていくであろうことなど、オブジェクトストレージの可能性に大きな期待を寄せざるを得ません。皆さんも、ビジネス課題を解決する上では、あるいは大量データを価値に変える上では、どのような方法が最適なのか、数ある手段の1つとして、“自社におけるオブジェクトストレージの可能性”を探ってみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

岡田 威徳(おかだ たけのり)

日本アイ・ビー・エム勤務

3880/3990磁気ディスクコントローラー、3380/90磁気ディスク装置など大型DASD装置、初期の3.5"HDDなど小型ハードディスク装置、世界初の3.5インチ光磁気ディスク装置、ストレージ関連チップ開発、NAS製品開発など、入社以来、ストレージの歴史とともに製造技術・品質管理や開発に携わる。

一方で、今では当たり前となった技術だが、IBMのストレージ製品から派生したコピー関連技術(FlashCopy/MetroMirror/GlobalMirrorなど)を生かしたオンラインバックアップや災害対策技術などのシステム設計・構築などにも精通し、現在はストレージやアーカイブ技術の最新形態ともいえるオブジェクトストレージの分野でテクニカルセールスとして活動中。

IBMのオブジェクトストレージ


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