Angular CLIのng generateコマンドを使ってAngularアプリ用コードを自動生成してみる。また、各アプリのAngular CLI設定ファイルをエディターで編集する方法も紹介する。
※現在では、Web標準技術を利用したアプリ開発が広く普及し、そのためのフレームワークも多数存在しています。その中でも主流のフレームワークの1つである「Angular」を活用し、そのための知識を備えることには大きな意味があります。本連載は、Angularユーザーに向けて、その使いこなしTIPSを紹介するものです。なお、本連載は「Build Insider」で公開していた連載「Angular Tips」を同サイトおよび筆者の了解を得たうえで、本フォーラムに移行したものです。記事はBuild Insiderで公開した状態のまま移行しているため、用語統一などの基準が@ITの通常の記事とは異なる場合があります。
Angular 4以降。v4時点で執筆しました。
別稿「TIPS:Angular CLIとは? ― インストール方法と、アプリの骨格生成&実行」では、Angular CLIを利用して、Angularアプリの骨格を生成し、Angular CLI標準の開発用サーバー(webpack-dev-server)で起動する方法について解説しました。
もっとも、Angular CLIの機能は新規アプリの骨格を作成したり開発用サーバーを立ち上げたりするだけではありません。アプリ開発を効率化するためのさまざまなコマンドを備えています。以下に、主なものをまとめます。
コマンド | 概要 |
---|---|
ng generate | モジュール/コンポーネントなどの骨格を自動生成 |
ng build | アプリをビルドし、/distフォルダーにビルドファイルを生成 |
ng test | ユニットテストを実行 |
ng e2e | E2Eテストを実行 |
ng get | 指定されたキーの値をAngular CLIの設定(Config)ファイルから取得 |
ng set | 指定されたキーと値でAngular CLIの設定ファイルを更新 |
表1 Angular CLIの主なコマンド |
この中でもよく利用するのがng generateコマンドです。コンポーネント/サービスなどのコードそのものを生成するだけでなく、モジュールにも自動で登録してくれるので、定型的な作業の手間をぐんと削減できます。
ng generate type name [options]
生成できるコードの種類(コマンド引数type)と、対応する主なオプション(コマンド引数[options])もまとめておきます。カッコ内は、種類やオプションで利用できる別名(省略名)です。
種類(別名) | 概要 オプション(別名) |
概要 |
---|---|---|
module(m) | モジュール | |
--flat | サブフォルダーを生成するか | |
--spec | テストコードを生成するか | |
--routing | ルーティングモジュールを生成するか | |
component(c) | コンポーネント | |
--flat | サブフォルダーを生成するか | |
--inline-template(-it) | インラインテンプレートを生成するか | |
--prefix | セレクター(要素名)に付与するプレフィクス | |
--spec | テストコードを生成するか | |
--skip-import | モジュールへの登録をスキップするか | |
--module(-m) | 登録先のモジュール | |
--export | エクスポートするか(@NgModuleのexportに登録するか) | |
directive(d) | ディレクティブ | |
--flat | サブフォルダーを生成するか | |
--prefix | セレクター(要素/属性名)に付与するプレフィクス | |
--spec | テストコードを生成するか | |
--skip-import | モジュールへの登録をスキップするか | |
--module(-m) | 登録先のモジュール | |
--export | エクスポートするか(@NgModuleのexportに登録するか) | |
service(s) | サービス | |
--flat | サブフォルダーを生成するか | |
--spec | テストコードを生成するか | |
--module(-m) | 登録先のモジュール | |
pipe(p) | パイプ | |
--flat | サブフォルダーを生成するか | |
--spec | テストコードを生成するか | |
--skip-import | モジュールへの登録をスキップするか | |
--module(-m) | 登録先のモジュール | |
--export | エクスポートするか(@NgModuleのexportに登録するか) | |
guard(g) | ガード | |
--flat | サブフォルダーを生成するか | |
--spec | テストコードを生成するか | |
--module(-m) | 登録先のモジュール | |
class(cl) | クラス(AngularのコンポーネントやモジュールなどではないTypeScriptの通常のクラス) | |
--spec | テストコードを生成するか | |
interface(i) | インターフェース | |
enum(e) | 列挙体 | |
表2 ng generateコマンドで生成できるコード(種類とその主なオプション) |
例えば、以下はArticleModuleモジュールを生成して、その配下にContentComponentコンポーネント(セレクターはwin-content)を作成する例です。
> cd cli-atips # アプリケーションルートに移動
> ng generate module article
installing module
create src\app\article\article.module.ts
> ng generate component content --prefix win --module article --flat
installing component
create src\app\content.component.css
create src\app\content.component.html
create src\app\content.component.spec.ts
create src\app\content.component.ts
update src\app\app.module.ts
モジュール/コンポーネントは、デフォルトで、作成するモジュール/コンポーネントと同名のフォルダーを/src/appフォルダー配下に作成して、そのフォルダー配下に生成されたファイル群が配置されます。例えばArticleModuleであればarticleサブフォルダーが/src/appフォルダー配下に作成されたことが、リスト1では確認できます*1。
*1 ディレクティブ/サービスなどは、/src/appフォルダー直下にファイルが作成されます。
/src/appフォルダー配下に作成するには、--flatオプションを付与してください。例えばリスト1ではContentComponentの生成で--flatオプションを付与しているため、contentサブフォルダーは作成されずに、ファイル群が/src/appフォルダー直下に生成されたことが確認できます。
コンポーネントの作成が完了した後、ArticleModuleモジュール(=生成された/src/app/article/article.module.tsファイル)を閲覧すると(リスト2)、確かにコンポーネントが登録されていることが確認できます。
import { NgModule } from '@angular/core';
import { CommonModule } from '@angular/common';
import { ContentComponent } from '../content.component';
@NgModule({
imports: [
CommonModule
],
declarations: [ContentComponent]
})
export class ArticleModule { }
--flat、--prefixのようなオプションは、設定ファイルで宣言することで、個々のコマンドでいちいち明示する必要がなくなります。Angular CLIの設定ファイルは、アプリケーションルートの直下に.angular-cli.jsonという名前で用意されています。
それぞれ以下の太字部分を編集してください。
{
……中略……
"apps": [
{
……中略……
"testTsconfig": "tsconfig.spec.json",
// セレクターのプレフィックス
"prefix": "win",
"styles": [
"styles.css"
],
……中略……
}
],
……中略……
"defaults": {
"styleExt": "css",
"component": {
// サブフォルダーを作成しないか
"flat": true
}
}
}
ここではコンポーネントの生成方法をdefaults−componentsキーで設定していますが、同じようにdefaults−module、directiveなどのキー配下で、モジュール、ディレクティブなどの生成オプションを指定することもできます。
処理対象:Angular CLI カテゴリ:基本
処理対象:設定(Config)ファイル カテゴリ:Angular CLI
処理対象:コマンド実行 カテゴリ:Angular CLI
API:ng generate|ng build|ng test|ng e2e|ng get|ng set カテゴリ:Angular CLI
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.