Windows 10への移行計画を早急に進めるべき理由企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内(1)(1/3 ページ)

本連載では、これからWindows 10への移行を本格的に進めようとしている企業/IT管理者に向け、移行計画、展開、管理、企業向けの注目の機能を解説していきます。第1回目は、「Windows 10に移行すべき理由」を説明します。

» 2017年07月21日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
「企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内」のインデックス

連載目次

旧OSのサポート期限に備えて早めの計画を!

 Windowsは長く、企業のクライアントPCの主要なプラットフォームとして選択されてきました。アプリケーション、3D対応、ゲームなど、コンシューマー向けの新機能が注目されがちなWindows 10ですが、特に企業での利用に向けて強化されたセキュリティ機能や管理機能も少なくありません。

 一方、「サービスとしてのWindows(Windows as a Service:WaaS)」のサービスモデル(次回以降に詳しく説明する予定)に基づいて次々に新しくなっていくWindows 10は、企業で利用するクライアントPCの標準OSとして適しているのか、不安や懸念を抱き、導入をためらっている企業もあると思います。

 現在利用中のシステムがWindows 10より前のバージョンで安定して動作しているとしても、そのWindowsをいつまでも使用し続けることはできません。かつて多くの企業の標準的なクライアントPCのOSであったWindows XPのサポートは、もう3年以上も前(日本では2014年4月9日、以降の他のサポート期限も同様に日本での日付)に終了しています。そして、2017年4月12日には、Windows Vistaのサポートも終了しました。

 以下の表1に、Windows Vista以降のWindowsについて、現時点(2017年7月)のサポート期限をまとめました。

Windowsのバージョン サポート中 サポート期限
Windows Vista × 2017年4月12日に既に終了
Windows 7 Service Pack 1(SP1) 2020年1月15日
Windows 8 × 2016年1月13日に既に終了
Windows 8.1 2023年1月11日
Windows 10 バージョン1507、ビルド10240 × 2017年5月10日に既に終了
Windows 10 Current Branchおよび
Current Branch for Business
Current Branch for Business向けリリース後、
最低18カ月
Windows 10 Enterprise 2015 LTSB 2025年10月15日
Windows 10 Enterprise 2016 LTSB 2026年10月13日
表1 Windowsの製品サポート期限(2017年7月現在)

 製品サポートが終了すると、Windowsに新たなセキュリティの問題が発覚しても、影響するかどうかは公表されません。当然、セキュリティ更新プログラムも提供されません。今後もクライアントPCをWindowsで運用し続けるなら、早めにWindows 10への移行を計画し、実施する必要があります。特に、Windows 7ベースのシステムを運用中の場合は、期限が迫っているため、急ぐ必要があります。

従来のスタイルとは全く異なる“サービスとしてのWindows”の始まり

 「サービスとしてのWindows(Windows as a Service)」については、次回以降で詳しく説明しますが、Windows 10は「Current Branch(CB)」と「Current Branch for Business(CBB)」のいずれかのサービスブランチで運用できます(【注意】サービスブランチは2017年9月より「Monthly Channel」「Semi-annual Channel(Pilot)」「Semi-annual Channel(Broad)」に変更され、Office 365 ProPlusとそろえられる予定です)。

 Current Branchは全てのWindows 10(後述するLTSBは除く)の既定であり、Windows 10 Homeエディションでは唯一のものです。Windows 10 Pro、Enterprise、EducationエディションはCurrent Branch for Businessに切り替えることが可能です。

 マイクロソフトは新機能を含むWindows 10の新しいバージョン(「機能アップグレード」「機能更新」とも呼ばれます)を、まずCurrent Branch向けにリリースし、おおむねその4カ月後にCurrent Branch for Business向けへの提供を開始します。そして、Current Branch for Businessでは最低でも2つのバージョンがサポートされます。そのサポートは、Current Branch for Business向けの提供開始から最低18カ月間提供されます。

 Windows 10のリリース後、これまで「November Update(バージョン1511、ビルド10580)」「Anniversary Update(バージョン1607、ビルド14393)」「Creators Update(バージョン1703、ビルド15063)」がリリースされています。Current Branch向けにリリースされたばかりのCreators Updateは、2017年の夏ごろにCurrent Branch for Business向けに提供されることになります。

 前出の表1からも読み取れるように、Windows 10の新しい更新モデルは、期限があらかじめ示された最低10年(5年のメインストリーム+5年の延長サポート)のサポートポリシーは適用されません。新しいポリシーはWindows 10 初期リリースの提供後、しばらくして決まったため、Windows 10 初期リリースの提供時に示された「2025年10月15日」がサポート期限だと誤解している人もまだ多いと思います。しかし、実際には新しいサポートポリシーに従って、Windows 10の初期リリース(ビルド10240、バージョン1507とも呼ばれます)のサポートは「2017年5月10日」に終了しました。

 Windows 10に移行するということは、非常に短いサイクルで新バージョンへのアップグレードを繰り返すことになります。新バージョンへのアップグレードは、Windows 7からWindows 8へのアップグレードするような“事実上のアップグレードインストール”なのですが、Windows 10ではそのプロセスが簡素化されており、Windows UpdateやWindows Server Update Services(WSUS)を通じて、通常の更新プログラム(Windows 10の品質更新プログラムやAdobe Flashの更新、その他のマイクロソフト製品向けの更新)と同様の方法で自動更新できるようになっています(画面1)。

画面1 画面1 Windows 10を導入すると、短いサイクルで新しいWindowsがやってくることに。適切に管理されていない環境では、アップグレードによる業務の中断やネットワークの遅延に悩まされるだろう

 ただし、企業においては、適切な更新管理を行わないと(その方法は用意されています)、“サービスとしてのWindows”の激流にたちどころに飲み込まれてしまうでしょう。管理側にとっては、アップグレードのたびにハードウェア/ソフトウェアの互換性問題に対応しなければなりませんし、エンドユーザーにとっては、仕事が長く中断してしまったり、ネットワークがダウンロードトラフィックで占有されて使い物にならなかったりといった影響が予想されます。

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