オープンソースソフトウェア(OSS)データベースも「進化の早さ」を眺めているだけでは乗り遅れてしまいます。ここでは、2017年前半に登場したデータプラットフォーム製品と、2017年後半以降に新バージョンが登場しそうな製品を併せてチェックします。
OSSデータベースは2017年後半、「節目」のバージョンが登場します。今回は、2017年前半に登場したデータプラットフォーム製品、そして2017年後半以降に新バージョンが登場しそうな製品をチェックしましょう。
まずPostgreSQLは、次期バージョン「PostgreSQL 10」がリリース予定です。2017年7月13日にはこのBeta 2版がリリースされています。
PostgreSQL 10では、パーティションテーブルや論理レプリケーションなどの“さらに大規模な環境”を想定した機能を軸に、パラレルクエリの大幅改善のような「信頼性」「運用性」を向上させるための機能がふんだんに盛り込まれる予定です。新機能の数は100以上とも言われており、かなりボリュームのあるバージョンアップとなりそうです。
ちなみに、PostgreSQL 10 Beta 1について、日本ヒューレット・パッカードの篠田典良氏が「PostgreSQL 10 Beta 1 新機能検証結果」と題した技術文書を公開しています。データベースエンジニアは目を通しておくことをお勧めします。
もう1つのOSSデータベースの雄であるMySQLは、次期バージョンが「MySQL 8.x」となる予定です。2017年8月現在の現行バージョンが「5.7」ですので、5.xから8.xにワープします。2017年8月現在、「MySQL 8.0.2のDMR(Development Milestone Release)」が公開されています。
MySQLでは、新機能の追加というよりもアーキテクチャの大きな変更が目立ちます。デフォルトのストレージエンジンとなるInnoDBに合わせてアーキテクチャを整理したように見えます。例えば「データディクショナリ」の変更。これまでテーブルのメタデータを拡張子「.frm」ファイルに格納していたところ、MySQL 8.0では、ファイルではなくInnoDBに格納できるように仕様が変わります。この他にもロールの追加、InnoDBの性能向上などの改善が予定されています。
MariaDBも2017年4月に「MariaDB 10.3 α版」が公開されました。MariaDB 10.3の正式版はいつ一般公開されるのかは今のところ不明ですが、「Oracleからの移行を照準にしている」とのことですので、商用データベースからの乗り換えをOSSデータベースで考察しているエンジニアは今のうちにチェックしておくと良さそうです。
この他、2017年8月7日現在Releace Candidate 2が公開されている「Microsoft SQL Server 2017」が近々、正式版になります。SQL Server 2017は、Windows ServerだけではなくLinuxやDockerコンテナ上でも動き、クラウドファーストでの利用を見越した新世代のSQL Server。現バージョンのSQL Server 2016は2016年6月に公開されたので、バージョン名の通り、1年ほどで新バージョンが登場するペースになっています。それだけクラウドの進化の早さとその重要性、そして社会ニーズ、ユーザーニーズの変化の激しさを明確に示すペースだといえるでしょう。
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