IDC Japanが国内企業の情報システム子会社の現状を分析した調査結果を発表した。情報システム子会社は2017年現在、親会社を含めた企業のDXへの取り組みが本格化する中で、それを支える組織に自らを変革できるかどうかの岐路に立っていることが分かった。情シス子会社は「今、何をしていくべき」なのだろうか。
IDC Japanは2017年8月21日、国内企業の情報システム子会社の現状を分析した調査結果を発表。情報システム子会社は2017年現在、親会社を含めた企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが本格化している中で、それを支える組織に自らを変革できるかどうかの岐路に立っていることが分かった。
同調査は、情報システム子会社を持つ企業の経営者、マネジャークラスの156人に対して、情報システム子会社が担っている業務や抱えている課題や将来の方向性を聞いたもの。2017年8月現在、情報システム子会社が担っている役割は、「既存システムの開発/運用」や「新たな業務システムの開発」などの、「今ある業務である」と回答した割合が約75%を占めた。それに対して、同社が「モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、クラウド、そしてソーシャル技術などの第3のプラットフォームによって、顧客が体験することや企業が新たな生産性のレベルを達成するビジネス機会を生み出すこと」と定義するDXまで担当している情報システム子会社は13.5%にとどまった。
IDC Japanは、情報システム子会社が業務をDXまで拡大できないのは、情報システム子会社が現在抱えている課題に理由があると推定。今回の調査では、情報システム子会社が抱える課題に「人材不足」を挙げた割合が最も多かった。次いで多かった「本社に対する提案力不足」とともに、情報システム子会社にはDXを担う人材が量、質とも不足している傾向が強いことが分かった。
ただ、情報システム子会社は親会社などからDXの実行を担う組織としての役割が期待されている。例えば、「スキル転換」「役割の変更」などを具体的に進めていく必要があるとIDC Japanのリサーチ第3ユニットでグループディレクターを務める寄藤幸治氏は述べる。
「情報システム子会社は、DXに対応していくために、既存業務の大胆な見直しと、新規デジタル技術やデザイン力の体得といったスキル転換を同時に行っていく必要がある。そのため、これまで開発や運用のパートナーであったITベンダーを自らの業務変革パートナーとして活用することも視野に入れるべきだ」(寄藤氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.