企業のデジタルトランスフォーメーションを全力で支援するマイクロソフト――国内の先進事例も多数紹介Microsoft Foresight Day1 キーノート(1/2 ページ)

日本マイクロソフトは2016年9月6日、7日の2日間、経営者や戦略立案、経営企画などの業務の責任者を対象にしたイベント「Microsoft Foresight」を東京都内で開催。「IoTやAIなどの技術が普及し、既存の産業構造に大きな転換が起きている中、企業はデジタルトランスフォーメーションをどう実現できるのか」をテーマに多数のセッションを実施した。

» 2016年09月07日 14時00分 公開
[齋藤公二@IT]

デジタルトランスフォーメーションめぐる4つのテーマ

 「Microsoft Foresight」初日のキーノートには、日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏が登壇。「お客さまとつながる」「社員にパワーを」「業務を最適化」「製品を改革」というデジタルトランスフォーメーションをめぐる4つのテーマについて、ゲストとのトークやデモを交えながら最新事例を紹介した。

ALT 日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏

 また、これらを支えるテクノロジーとして「コグニティブサービス」のコンセプトやセキュリティに対する取り組みも披露。さらに、キーノート後半では、東日本旅客鉄道 取締役副会長の小縣方樹氏を招いて、デジタルトランスフォーメーションをテーマにしたパネルトークを展開した。

 まず、デジタルトランスフォーメーションの4つのテーマのうち「お客さまとつながる」では、ソフトバンクとの「クラウド×ロボティクス」の協業を紹介。具体的には「Pepper(ペッパー)」と「Surface Hub」を接客端末として、データ分析などの基盤にMicrosoft Azureを活用する事例だ。会場では、実際にPepperに話しかけて顧客に合った商品を提案したり、その商品をSurface Hubにタッチしてそのまま購入したりするデモを披露した。

 「店舗で接客しながら、リアルタイムでデータを収集し、機械学習を使って最高の“おもてなし”を提供できる」(平野氏)

ALT 「Pepper(ペッパー)」と「Surface Hub」を接客端末として、店舗での接客をデモ

 2つ目の「社員にパワーを」では、「Office 365」をグループ従業員約16万人へ導入した富士通の事例を紹介。富士通の代表取締役社長 田中達也氏がビデオメッセージに登場し、「電話を含めたあらゆるコミュニケーションを統合し、自社実績の成果を顧客サービスに生かしていく」と訴えた([関連記事]富士通とマイクロソフト、「グローバルコミュニケーション基盤」の導入促進で連携強化)。

 また、マイクロソフト自身もワークスタイル変革を推進しており、ワークライフバランス(社員満足度)40%増、事業生産性26%増、残業時間5%減、女性の離職率40%減といった成果を上げていることを示した。

 3つ目の「業務の最適化」では「HoloLens」の活用事例を紹介。日本航空は、航空会社として世界で初めてHoloLensを採用し、訓練生向けにジェットエンジンのトレーニング教材を作成している。デモビデオによると、ジェットエンジン内での燃料の動きなど、現実では視認できないことも視覚的に把握できるようになるとのこと。ゲストとして登壇した日本航空の速水孝治氏(商品・サービス企画本部 業務部 業務グループ グループ長)も「今までのデバイスでは実現できなかったことができる。最初は理解してもらうのに苦労したが、今では『すごい』とみんなが子どものように驚いている。今後は、AIや機械学習の取り組みも進めていきたい」と導入効果を訴えた。

ALT 航空会社として世界で初めてHoloLensを採用した日本航空では、ジェットエンジンのトレーニング教材で活用

 4つ目の「製品を変革」では、トヨタ自動車とパナソニックの事例を紹介。トヨタ自動車は、テレマティクスや社内グローバル基盤の取り組みでマイクロソフトと協業している。ビッグデータへのさらなる活用に向けて、共同で新会社「Toyota Connected」を設立するなど変革を加速させている([関連記事]トヨタ、マイクロソフトと合弁でToyota Connectedを設立)。また、パナソニックからは、IoTクラウド推進室室長の小杉克也氏がビデオで出演。「クラウドを使って映像コンテンツをどこでも視聴できる『TV Anywhere』や業務向けのP2Castサービスなどを展開している。それらはMicrosoft Azureを使ったクラウドサービス基盤『PCPF(Panasonic Cloud Service Platform)』に統合する予定。今後はIoTやAIにも積極的に取り組む」と述べた。

 続いて、平野氏は、こうした4つのテーマを展開する上で重要になる技術として「コグニティブサービス」があると説明。具体的には「視覚認識」「音声認識」「言語理解」「知識」「検索」の5つのサービスを挙げ、これらがどのように提供されるのかを日本マイクロソフトのエバンジェリスト、西脇資哲氏がデモを披露した。

 店舗での接客を例にとると、まずPepperなどのカメラで「視覚認識」を行い、顧客の年齢や表情などを把握。顧客属性はクラウド上でリアルタイムに分析される。そして、ウェラブル端末などから顧客の来店履歴などを店員に「知識」として把握させて、顧客に最適化した接客につなげる。さらに「音声認識」を使って、スマートフォンに「今日の来店客数の予想を教えて」などと自然言語で問いかけて最新状況を「検索」しながら、来店客数に合わせた店舗対応の最適化につなげる。「顧客を“認知”することで、顧客に対するサービスの向上という次のアクションにつなげられることが大きなポイント」と、西脇氏は説明した。

ALT エバンジェリストの西脇資哲氏によるマイクロソフトの「コグニティブサービス」のデモ。カメラで顧客を認識、情報を把握して、サービスの向上につなげる

 こうしたコグニティブサービスを「HR Tech(ヒューマンリソーステクノロジー)」サービスに適用しようとしているのが人材サービス大手のリクルートキャリアだ。新規事業開発を担当する木塚敬介氏(商品本部 事業開発室 執行役員)は、「最先端のテクノロジーとデータを使いながら『人を中心に据えたHR Tech』に取り組んでいる。マイクロソフトとリクルートキャリアの強みを生かした、これまでにないHR Techサービスを提供していきたい」と話した。

 また、こうした4つのテーマやコグニティブサービスの展開で欠かせないものとしてセキュリティの取り組みがある。平野氏によると、マイクロソフトのセキュリティは「プラットフォーム」「インテリジェンス」「パートナー」の3つを軸に進められている。世界各国の機関と協業して脅威に対抗しており「マイクロソフトはセキュリティカンパニーであることを宣言する」と強く訴えた。

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