Gartnerの調査によれば、BI/アナリティクスの普及率は3割程度だ。これは「多い」といえるのだろうか、それとも「少ない」のだろうか。BI/アナリティクスは、どれだけ普及すれば十分なのだろうか。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
2017年6月に発表されたわれわれの調査レポートは、BIやアナリティクスの普及率(従業員数ベース)が若干伸び、約32%に達したと報告している。これは「既に32%もの従業員に利用されている」と捉えるべきか。それとも「まだ32%の従業員にしか利用されていない」と捉えるべきか。
BIの普及率は、私がこの10年間、書籍『Successful Business Intelligence』の初版執筆時から追跡してきた指標だ。率直に言って、私には普及のペースは遅く見える。BIポートフォリオをモダナイズするさまざまな取り組みが行われ、セルフサービスの使いやすいツールがビジネスユーザーに提供されるようになったことから、私はもっと普及が進むと予想していた。「マジッククアドラント」のために特定のBIツールについて行ってきた顧客調査でも、BIの普及率(従業員数ベース)は21%にとどまる。基本的にこの10年間、横ばいで推移している。
これはどういうことだろうか。“データ主導型企業”が注目されている割に、全体的な普及率はこの程度しかない。一部の従業員しかデータにアクセスしていないなら、どうやって「データがビジネスにおける新たな潤滑油に」なるのか。
ある業界の権威から、Twitterでこう質問されたことがある。「BIはどれだけ普及すれば十分なのか。BIが対応できる市場は全体の21〜32%で、普及率がこのくらいになると、市場が飽和するのでは?」
私はそうは思わない。BIやアナリティクスの社内普及率が50%を優に超え、100%に近い、真にデータ主導型の企業が出てきている。ただし、これは全ての従業員が一からクエリを作成しているということではない。それはGartnerが打ち出した考え方である「パーベイシブBI」の目標でもない。
パーベイシブBIが目指しているのは、ユーザーがデータを、必要な場所で必要なときに、必要な方法で活用できるようにすることだ。そうした方法がダッシュボードである場合もあれば、モバイルアプリである場合もある。また、BI検索/NLP(自然言語処理)やチャットボットといった新技術により、技術に詳しくないユーザーも、意識することなくデータクエリを実行できるようになっている。(2017年7月に発行されたアナリティクスとBIに関するハイプサイクルレポートでは、こうした技術トレンドも解説されている)。
業界としてのわれわれの課題の1つは、最も声の大きいユーザーへの対応を優先してしまっていることだと思う。つまり、大部分のユーザーよりもパワーユーザーの支援に力を入れてしまう。
また、われわれは間違いなくデータに翻弄(ほんろう)されている。新しいデータソースや新しいストレージアプローチが、業界にとって必要なユーザー拡大のネックになることが多い。BIやアナリティクスの担当チームは、あらゆる要求にほとんど対応できていない。つまり、より多くのデータや新しいツール、レポートの変更、ソースシステムの移行など、さまざまなことが求められているが、何一つろくに対応できていない。
われわれはよりスマートに仕事をこなす必要があるが、最も価値の高い機会をもたらすため、大局観を念頭に意識しておくことも重要だ。
われわれは、BIとアナリティクスの普及を促進する方法に関する洞察と推奨事項をまとめたレポートを、Gartnerのサービス会員向けに提供している。
皆さんはどうお考えだろうか。BIはどれだけ普及すれば十分なのか。われわれは前に進んでいるのだろうか。
出典:Pervasive BI and Analytics: Are We There Yet?(Gartner Blog Network)
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