KDDIがSD-WANサービス「KDDI SD-Network Platform」を発表、その内容は? 料金体系は?機能は段階的に提供

KDDIは2017年10月24日、SD-WANサービスを12月5日に提供開始すると発表した。「KDDI SD-Network Platform」と名付けられた新サービスは、Versa Networksの技術を用いている。新SD-WANサービスは、世界中で提供する。機能は段階的に拡充していくという。

» 2017年10月25日 09時53分 公開
[三木泉@IT]

 KDDIは2017年10月24日、SD-WANサービスを12月5日に提供開始すると発表した。「KDDI SD-Network Platform」と名付けられた新サービスは、Versa Networksの技術を用いている。新SD-WANサービスは、世界中で提供する。機能は段階的に拡充していくという。

機能は段階的に拡充していく

 KDDI SD-Network Platformは、回線サービスの上に、いわゆる「オーバーレイ」として利用できるサービス。つまり、ユーザー組織は、既存のWAN接続サービスの契約を変えることなく、SD-WAN用の機器(CPE)を拠点に導入することにより、アプリケーションやパフォーマンスに応じたトラフィックの自動的な割り振りができるようになる。

 物理的なWAN回線サービス自体とは切り離されているため、他社の回線サービスとの組み合わせも可能。KDDIのソリューション事業企画本部副本部長、藤井彰人氏は、「責任分界点の問題はあるが、(KDDI回線と他社回線の組み合わせで)利用する顧客もいると考えている」としている。

 とはいえ、主な用途は、KDDIのIP-VPNサービスとインターネット接続サービスを契約している法人が、各拠点でのトラフィックのインテリジェントな割り振りにより、コストを効率化する、一般的なインターネットアクセスは各拠点から直接インターネットに流す、新規拠点の設置を迅速化する、などになるという。

 繰り返しになるが、今回のSD-WANサービスは物理的な回線サービスとは切り離されているため、「新規拠点の設置を迅速化」とはいっても、通信サービスの開通までの期間が短縮化されるわけではない。だが、SD-WAN製品によく見られる「ゼロタッチプロビジョニング」機能で、通信トポロジーを含め、全ての設定を後から送り込むことができるため、拠点機器の設置作業は迅速化する。

 KDDIの通信サービスの特徴は、IP-VPN、インターネット接続、セルラー通信サービスを1社で提供できることにある。同社はこれを生かし、今回のSD-WANサービスで、モバイル(セルラー)通信をバックアップ回線、あるいはメイン通信回線の選択肢として活用できる機能を、2017年度中に提供開始する。将来は、KDDIが2017年8月に買収したソラコムのサービスとの連携も図るという。

 拠点からの直接インターネットアクセスでは、セキュリティをどう担保するかが課題になる。KDDIでは、各拠点に置くSD-WAN用の機器でUTMを動かし、これに対応する。また、「KDDI Security Cloud」というサービスを合わせて提供する。

 KDDI Security Cloudは、シマンテックの技術に基づき、SaaS型で提供するセキュリティサービス。このサービスは、プロキシによるWebおよびメールのセキュリティサービスに加え、CASB(Cloud Access Security Broker)機能を提供する。SaaSやPaaSを含めたクラウドサービスの評価データベースを基に、ユーザーの利用しているサービスを可視化し、利用リスクを可視化して示す。また、特定サービスにおいてユーザーが行える操作を制限し、情報漏えいのリスクがあるクラウドへの重要データの転送を防ぐなどができる。

 拠点に設置する機器は、「SMALL」「MEDIUM」「LARGE」の3種類を用意する。当初はSMALLのみ。2017年度中にMEDIUM、LARGEを提供する。これらは仮想CPEで、ニーズに応じて機能を後から追加して動かすことができる。機能にはルーティング、トラフィック可視化、SD-WAN、モバイル接続などがある。スモールスタートし、必要に応じて拡張していける点は、KDDIのサービスのメリットの1つという。

ニーズに応じた拡張が容易

 KDDI SD-Network Platformの料金は、機器単位の月額制。上記のどの機器を使うか、およびどの機能を使うかに応じて異なる。例えばSMALLでルーティングおよびトラフィック可視化機能のみを動かす場合、拠点当たり月額1万円という。

 上記の通り、今回のSD-WANサービスは回線サービスとは切り離されているが、将来は回線サービスの情報を生かしていきたいという。回線サービスのデータの分析に基づき、回線サービスおよび各ユーザーの利用状況に応じて、回線サービスをオンデマンドで帯域拡張する、モバイル回線を起動する、通信経路を変更する、などを自動的にできるようにするという。

 KDDIソリューション事業企画本部ネットワークサービス企画部部長の梶川真宏氏は、「(国際回線などでは、)切れなくてもスループットが落ちている場合が問題になる」といい、こうした回線のトラブルにも能動的に対応できるようにしていきたいと話した。

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