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» 2017年11月07日 05時00分 公開

Windows Server 2016の次は「1709」? いえ、2016の次はまだ出ていません!その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(96)(2/2 ページ)

[山市良,テクニカルライター]
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ウィンドウのないWindows、どうやって管理するの?

 Windows Server バージョン1709はServer Coreインストールベースですので、GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)がほとんど利用できません。全く使えないわけではなく、コマンドプロンプトのウィンドウはもちろんGUIですし、少数の「コントロールパネル」(intl.cplの「地域」、timedate.cplの「日付と時刻」、iscsicpl.exeの「iscsiイニシエーター」)、「メモ帳」(notepad.exe)、「システム情報」(msinfo32.exe)など、幾つか利用可能なGUIは存在します。

 ローカルの構成と管理は、「Sconfig」ユーティリティー、Windows PowerShell、その他のOS標準コマンドを使用して行えます。リモートからの管理は、Windows Server 2016以前と同様に、MMC(Microsoft Management Console)管理ツールや「サーバーマネージャー」のリモート接続が可能です。「サーバーの役割」と機能の管理には、Windows Server バージョン1709用の「リモートサーバー管理ツール(Remote Server Administration Tools:RSAT)」(WindowsTH-RSAT_WS_1709-x64.msuまたはWindowsTH-RSAT_WS_1709-x86.msu)が使用できます(画面5)。

画面5 画面5 サーバーマネージャーやMMC管理コンソールでWindows Server バージョン1709をリモート管理できる

 以下の画面6は、Windows Server 2016 Hyper-Vの入れ子構造の仮想化機能を利用して、仮想マシン環境にWindows Server バージョン1709をセットアップし、Hyper-Vを有効化して、別のWindows 10 バージョン1709を実行する仮想マシンの「Hyper-Vマネージャー」から管理している様子です。

画面6 画面6 Windows Server バージョン1709のHyper-V環境を、Windows 10 バージョン1709からリモート管理している様子

 なお、RSATにはHyper-Vマネージャーは含まれません。Windows 10 バージョン1709に搭載されたHyper-Vマネージャーを、ローカルのクライアントHyper-Vではなく、Windows Server バージョン1709にリモート接続して管理します。

 また、Microsoftは新たに「Microsoft Project "Honolulu"」というブラウザベースの管理ツールの提供を計画しています。これは、Windows 10またはWindows Server 2016(デスクトップエクスペリエンス)にスタンドアロンでインストール(.msi形式)して、簡単に導入できるもので、MMC管理ツールやサーバーマネージャーなど、従来のさまざまなGUI管理ツールを1つに置き換えることができる、GUI管理ツールになるようです(画面7)。

画面7 画面7 Project "Honolulu"は、ブラウザベースのWindows Server用GUI管理ツール。現在はTechnical Preview段階

Windows Server バージョン1709のDockerを読解

 Windows Server バージョン1709は、ISOメディアからのクリーンインストールだけでなく、Windowsコンテナに対応したDocker環境で利用可能なベースOSイメージとして導入することもできます。既に、Docker Hubではバージョン1709(ビルド16299.x)で作成されたベースOSイメージ「microsoft/windowsservercore:1709」と「microsoft/nanoserver:1709」が提供されています(注:タグ名「latest」はWindows Server 2016のビルド14393ベースなので注意)。

 Nano ServerはWindows Server 2016で初めて登場し、SA契約を通じて運用環境への導入が可能でした。Windows Server 2016では物理サーバ、仮想マシン、Docker環境に導入できましたが、Windows Server バージョン1709ではDockerのベースOSイメージとしてのみ提供されます。

 Nano ServerはもともとSAに基づいて提供されるものであり、後継バージョンにインプレースアップグレードできるはずだったと思いますが、物理サーバと仮想マシンに導入する方法は廃止されました。また、Dockerのコンテナには「OSのバージョンアップ」という概念がないため(ベースOSイメージの入れ替えなので)、Nano Serverについてもインプレースアップグレードという方法は存在しません。

 Docker環境では、上位互換性および下位互換性についての注意も必要です。前回の「図解で理解できる(はず)Microsoftの仮想化技術――Windows上で稼働するLinux、動かしているのはどのテクノロジー?(その2)」で説明したように、Windows ServerコンテナはコンテナホストとベースOSイメージが同じビルドを実行している必要があります。

 Windows Server 2016(ビルド10.0.14393.x)のコンテナホストでWindows Serverコンテナとして実行できるのは、ビルド10.0.14393.xのベースOSイメージに限られます。つまり、「microsoft/windowsservercore:1709」および「microsoft/nanoserver:1709」をWindows Serverコンテナとして実行できるのは、Windows Server バージョン1709のコンテナホストだけということになります。

 Hyper-Vの仮想化技術で分離されるHyper-Vコンテナは、ビルド一致要件をなくしますが、少なくとも今回については、上位互換は提供されません。Windows Server バージョン1709およびWindows 10 バージョン1709は、「microsoft/windowsservercore:1709」と「microsoft/nanoserver:1709(ビルド10.0.16299.x)」、「microsoft/windowsservercore:latest」および「microsoft/nanoserver:latest(10.0.14393.x)」の両方を実行できます(画面8)。

画面8 画面8 新しいバージョンのコンテナホスト(1709)は、新しいバージョンのベースOSイメージ(1709)をWindows Serverコンテナ(プロセスベース)またはHyper-Vコンテナ(分離ベース)で実行でき、古いバージョンのベースOSイメージ(2016)をHyper-Vコンテナで実行できる

 一方、Windows Server 2016およびWindows 10 バージョン1607/1703は、新しい「microsoft/windowsservercore:1709」と「microsoft/nanoserver:1709(ビルド10.0.16299.x)」をサポートしません(画面9)。

画面9 画面9 古いバージョンのコンテナホスト(1607または1703)は、新しいバージョンのベースOSイメージ(1709)をサポートしない

 Windows Serverの半期チャネルの開始で、Windows 10と同じようにWindows Serverの世界も混沌としてきました。しかし、これまでのWindows Server(2012/2012 R2/2016、つまり、LTSC)を利用している限り、あるいはSA契約がない限り、振り回されることはないので安心してください。

 Windows Server 2016は標準で「2027年1月」まで(Premium Assuranceで2033年1月まで)サポートされますが、Windows Server バージョン1709は「2019年の中ごろ」には姿を消します(バージョン1803、バージョン1809など後継のバージョンにアップグレードする必要があるということ)。

 国内外のニュース記事を見ると、LTSCとSemi-Annual Channelの違いを考慮せずに(知らずに?)書かれているものが幾つかありました。Microsoftへの問い合わせも増えているのでしょう。Windows Server バージョン1709がリリースされた月の月末には、こんなFAQ記事が公式ブログにアップされていましたよ。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。


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