2017年10月第3週に「Windows Server バージョン1709」がリリースされましたが、少し遅れて2017年11月1日より、Microsoft AzureのMarketplaceでこのバージョンのWindows Serverイメージが利用可能になりました。
2017年10月17日(米国時間)の「Windows 10 Fall Creators Update」(バージョン1709、ビルド16299)のリリースと同じ日に、Windows Server Semi-Annual Channel(半期チャネル)の初めてリリースとなる「Windows Server バージョン1709」がリリースされました。
Windows Server Semi-Annual Channelは、Windows Serverのソフトウェアアシュアランス(SA)に対して提供される、従来のWindows Server製品(こちらはLong Term Servicing Channel:LTSCと呼ばれます)とは異なるサポートポリシー、異なる更新サイクルで提供される、主に“クラウドアプリのインフラストラクチャ向け”のWindows Serverです。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
Windows Server バージョン1709は、LTSC版であるWindows Server 2016の後継バージョンではなく、Windows Server 2016からの直接アップグレードするパスは用意されていません。Windows Serverの有効なSA契約を持つ場合に限り、メディアから新規インストールすることで導入できます。なお、Windows Server 2016の直接的な後継バージョンは、新しいLTSCバージョンで将来リリースされる予定です。
Windows ServerのSAを持たない場合、オンプレミスの物理/仮想化環境にWindows Server バージョン1709を導入する方法はありません(いまのところ評価版は提供されていませんが、Windows Server Insider Previewに参加することで評価は可能なようです)。
Microsoft Azureのサブスクリプション(30日の無料評価版を含む)をお持ちであれば、Azure仮想マシンとして展開して利用することができます。2017年11月1日から、Microsoft AzureのMarketplaceで以下の2つの仮想マシンイメージが利用可能になりました(画面1)。
従来のWindows ServerのOSライセンス費用が、Azure仮想マシンのWindows仮想マシンの料金に含まれるように、これらのイメージを利用するためにサーバライセンスやSAを用意する必要はありません。従来のWindows Serverと同様、有効なSAがあれば、SAの「Microsoft Azureハイブリッド使用特典(Azure HUB)」を適用することが可能です。
なお、Semi-Annual Channelのサポートはリリース後18カ月であり、Windows Server バージョン1709のサポートは「2019年の中ごろ」には終了することに注意してください(画面2)。また、Azure仮想マシンでは、基本的にインプレースアップグレードをサポートしていません。
「Windows Server, version 1709」はWindows Server バージョン1709(en-us)のServer Coreインストールのイメージ、「Windows Server, version 1709 with Container」はServer CoreインストールにWindows ServerコンテナのためのDockerコンテナ環境がセットアップ済みのイメージです。
なお、Windows Server Semi-Annual Channelはデスクトップエクスペリエンス付きのインストールを含みません。また、デスクトップエクスペリエンスの機能(およびリモートデスクトップセッションホスト役割)を後で追加する方法も用意されていません。そのため、展開したAzure仮想マシンへのリモートデスクトップ接続は、エクスプローラーシェルを含まない、Server Coreインストール環境への接続となります(画面3)。
Windows Server Semi-Annual ChannelはServer Coreインストールの他、最小インストールオプションであるNano Serverも提供します。ただし、Nano Serverはこのバージョンから、物理/仮想化環境へのインストールはサポートされなくなり、DockerのWindowsコンテナ用ベースOSイメージとしてのみの提供になります。「Windows Server, version 1709 with Container」のコンテナ環境付きイメージを展開すれば、Nano ServerをWindows Serverコンテナとして実行することが可能です。
現在のMarketplaceのイメージには、同じバージョンレベル(ビルド16299.x)のServer CoreベースOSイメージ(microsoft/windowsservercore:1709)とNano ServerベースOSイメージ(microsoft/nanoserver:1709)が組み込み済みになっていました(画面4)。ただし、これらのベースOSイメージは少し古いイメージ(16299.15)であり、「docker pull」コマンドでホストと同じ最新バージョン(現時点で16299.19)を取得できます。
なお、Microsoft AzureのDv3/Ev3シリーズなど「入れ子構造の仮想化(Nested Virtualization)」をサポートするAzure仮想マシンで展開すれば、Hyper-Vコンテナを実行することも可能です。Windows Server バージョン1709ベースのコンテナ環境で、旧バージョンのベースOSイメージ(Windows Server 2016ベース)を実行する場合は、Hyper-Vコンテナを利用する必要があります。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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