Windows 10 バージョン1607(Anniversary Update)からは、この話題を見聞きすることはなくなりました。それはおそらく、タスクマネージャーの表示が「システムとメモリの圧縮」から「System」に戻ったからでしょう(画面3)。「システムと圧縮メモリ」によるメモリの大量消費に悩んでいた人の中には(悩むことに意味があったかどうかは別として)、Windows 10 バージョン1607で問題が解消されたと喜んだ人もいたかもしれません。
Windows 10 バージョン1511のメモリ圧縮の機能は失敗作だったため、新バージョンでは廃止されたのかというと、そうではありません。メモリ圧縮の機能は引き続き動いています。ただ、表示から隠されただけです。その代わりに、タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブには使用中のメモリのうち、圧縮されたメモリが示されるようになりました。
メモリ圧縮のプロセスは、タスクマネージャーの「プロセス」タブや「詳細」タブに表示されなくなっただけで、実はちゃんと存在して動いています。「Windows Sysinternals」の「Process Explorer」でプロセスツリーを確認すると、「System」プロセス(プロセスIDは常に「4」)の子プロセスとして、「Memory Compression」プロセス(プロセスIDはランダム)の存在を確認できます(画面4)。おそらく、Windows 10 バージョン1511のタスクマネージャーの表示がいらぬ誤解を与えることを恐れ、表示から隠したのでしょう。
なお、Process Explorerを使用しなくても、「Tasklist.exe」コマンドやWindows PowerShellの「Get-Process」コマンドレットで「Memory Compression」という名前のプロセスを確認できます。例えば、以下のコマンド/コマンドレットを実行すれば、目的のプロセスだけを簡単に見つけることができます。
tasklist |findstr /i "Memory Compression"
Get-Process -ProcessName "Memory Compression"
また、Windows 10 バージョン1607以降でGet-MMAgentコマンドレットを使用すると、メモリ圧縮の機能が有効になっている(Memory Compression: True)ことを確認することができます。
ちなみに、メモリ圧縮はクライアントエディションでは既定で「有効」であり、Windows 10 バージョン1607と同じビルドであるWindows Server 2016では「無効」になっています。タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブは、圧縮されたメモリを常に「0MB」と表示します。
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