「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ176の詳細と使い方」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。
今回は「トレースフラグ176」の詳細と使い方を解説します。
トレースフラグ176は、パーティション分割列として使用される計算列を含むオンラインインデックス再構築の不具合修正のためのものです。
SQL Server 2016では、「パーティション分割列として使用される計算列を含むインデックス」をオンラインで再構築すると、エラー4819が発生する可能性があるという不具合があります。
その場合「一括読み込みができません。一括データ ストリームが並べ替え済みであると誤って指定されているか、一括読み込み先テーブルで設定された一意性制約にデータが違反しています」というメッセージが出力されます。この不具合を解消するためにはSQL Server 2016 SP1 CU2以降をインストールし、トレースフラグ176を有効にする必要があります。
設定方法 | 可/不可 | 要/不要 |
---|---|---|
スタートアップ | ○ | − |
グローバルスコープ | ○ | − |
セッションスコープ | ○ | − |
クエリスコープ | × | − |
トレースフラグ 3604/3605 | − | 不要 |
不具合の回避方法として、マイクロソフトの文書には「SORT_IN_TEMPDB=ON」を有効にするという記載があります。しかし、TEMPDBの容量が足りない場合などは、SORT_IN_TEMPDBを使用せずに実行しなければなりません。
動作変更による影響を最小限にするためには、実行するインデックス再構築クエリの前後でトレースフラグの有効化、無効化を実行します。
DBCC TRACEON(176) GO ALTER INDEX <インデックス名> ON <テーブル名> REBUILD PARTITION = <パーティション番号> WITH ( ONLINE = ON) GO DBCC TRACEOFF(176) GO
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、2017年現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
ユニアデックス株式会社所属。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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