PCでAIやディープラーニング開発を――NVIDIA、「Volta」アーキテクチャベースのPC向けGPU「TITAN V」をリリース従来製品と比べて9倍のディープラーニング性能を実現

NVIDIAは、HPCやAI用の「NVIDIA Volta」アーキテクチャに基づくPC向けGPU「TITAN V」を販売開始した。

» 2017年12月12日 08時00分 公開
[@IT]

 NVIDIAは2017年12月7日(米国時間)、「NVIDIA Volta」アーキテクチャがベースのGPU「TITAN V」を発表した。TITAN Vの発表は、NVIDIAの創業者でCEO(最高経営責任者)のジェンスン・フアン氏が「NIPS(Neural Information Processing Systems)2017」カンファレンスで行った。TITAN Vは、科学シミュレーションの計算処理に優れ、211億個のトランジスタを搭載しており、同社の従来製品と比べて9倍の110TFLOPS(テラフロップス)のディープラーニング性能を実現する。

TITAN V(出典:NVIDIA)

 TITAN VのVoltaアーキテクチャでは、GPUの中心を占めるストリーミングマルチプロセッサの設計が大幅に見直された。これにより、電力効率が前世代の「Pascal」の2倍となり、同じ消費電力での性能が大幅に向上しているという。

 またVoltaは、ディープラーニング専用の新しい「Tensor Core」の搭載によって従来比最大9倍の理論演算性能を実現。独立した並列整数および浮動小数点演算子からなるデータパスにより、演算とアドレス計算が組み合わされたワークロードで非常に高い効率を発揮する。新しいL1キャッシュと共有メモリユニットも、大幅な性能向上とプログラミングの簡素化に寄与するという。

 TITAN Vは、NVIDIA向けにカスタマイズされたTSMCの新しい12ナノメートルFinFETプロセス「12nm FFN(FinFET NVIDIA custom)」で製造されている。またメモリ帯域を活用するために、チューニングされた12GBのHBM2メモリを組み込んだサブシステムを搭載している。

 NVIDIAは、TITAN Vの優れた性能は、PCを使ってAI(人工知能)やディープラーニング、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の作業を行いたい開発者に最適だとしている。

 TITAN Vユーザーは、NVIDIAのGPU対応クラウドプラットフォーム「NVIDIA GPU Cloud(NGC)」に無料でアカウントを作成し、最新GPUに最適化されたAI、ディープラーニング、HPCソフトウェアにアクセスできる。NGCのコンテナレジストリでは、下記が利用可能だ。

  • NVIDIAに最適化されたディープラーニングフレームワーク
  • サードパーティーが管理するHPCアプリケーション
  • NVIDIAのHPC可視化ツール
  • NVIDIAのディープラーニング推論エンジン「NVIDIA TensorRT」

 フアン氏は、VoltaとTITAN Vについて「われわれのVoltaビジョンは、HPCとAIの外部限界を押し広げることだった。われわれは新しいプロセッサアーキテクチャ、命令、数値フォーマット、メモリアーキテクチャ、プロセッサによって新たな地平を切り開いた。TITAN Vにより、Voltaを世界中の研究者や科学者の手に届ける。彼らが画期的な発見を成し遂げることを楽しみにしている」と述べた。

 TITAN Vは、NVIDIAストアから2999ドル(約34万円、2017年12月11日現在)で発売されている。

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