調査対象となった地域の米国、アジア太平洋、欧州を比較すると、多要素認証や生体認証といった方法に精通し、使い慣れているのは、アジア太平洋地域であることが分かったという。
IBMでは、地理的位置が最新の認証技術の受け止め方や習熟に強く影響すると分析。米国は、意識や慣れという点で最も立ち遅れているとした。
具体的には、生体認証をよく知っていると答えた人の割合は、欧州の40%、米国の34%に対し、アジア太平洋は61%となった。生体認証を使い慣れていると答えた人の割合も、アジア太平洋が78%と最も高く、次いで欧州65%、米国57%だった。
欧州はパスワード対策が最も強力で、52%が複雑なパスワードを使用していると回答。アジア太平洋は46%、米国は41%だった。
一方、米国では23%の生体認証の利用に関心がないと答えており、世界平均の2倍近くに上ったという。
調査の結果、IBMでは、生体認証のような新しい認証形態の受け入れが拡大しつつある一方で、特に高齢世代と米国人の間では懸念も根強く残っているなど、認証に関する姿勢に違いがあることを受け、ユーザーが複数の認証オプションから選択できるIDプラットフォームを利用することで、こうした選好への対応を提案するとしている。
例えば、携帯電話上に指紋リーダーを呼び出すモバイルプッシュ通知とワンタイムパスコードを、ユーザーが切り替えられるようにすることが考えられるという。また、行動パターンや接続属性(デバイス、位置、IPアドレス)が異常活動を示唆している場合など、シナリオに応じて追加の認証チェックポイントを起動するリスクベースのアプローチを使用することで、セキュリティの必要性と利便性のバランスをとることも可能だという。
また、若年世代が従来のパスワード生成をあまり重視しなくなってきていることから、今後は、パスワードによるアクセス管理に代わって、モバイルデバイスを主要認証要素として活用し、生体認証やトークンを用いるアプローチを統合することにより、ミレニアル世代やZ世代の従業員の割合が増えつつある職場環境の変化に対応できるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.