Armは、高度な機械学習やニューラルネットワーク機能などを提供するIPスイート「Project Trillium」(開発コード名)を発表した。
Armは2018年2月13日(米国時間)、機械学習(ML)やオブジェクト検知(OD)機能を提供する新型プロセッサと、ニューラルネットワーク(NN)のソフトウェアを含むIP(Intellectual Property)スイート「Project Trillium」(開発コード名)を発表した。この技術は、MLが可能で、最先端のODをはじめとするコンピュート機能を備える新タイプのデバイスを実現するとしている。
「現在のML技術は、特定のデバイスクラスや個別セクターのニーズにフォーカスしているが、ArmのProject Trilliumは高いスケーラビリティを提供し、この状況を変える」とArmは述べている。リリース当初はモバイルプロセッサに重点を置くが、Armの将来のML製品は、パフォーマンスを高めたり、低く抑えたりでき、センサーやスマートスピーカー、モバイル、ホームエンターテインメントなど、幅広い用途に対応できるという。
新しい「Arm MLプロセッサ」と「Arm ODプロセッサ」は、スタンドアロンのCPU、GPU、アクセラレーターよりも大幅に高い効率を実現するだけでなく、従来のDSP(Digital Signal Processor)のプログラマブルロジックよりも格段に優れているとしている。
Arm MLプロセッサは、ML向けに一から作られている。スケーラビリティの高いArmのMLアーキテクチャに基づいており、MLアプリケーションで以下のように極めて高いパフォーマンスと効率を実現する。
Arm ODプロセッサは、フレーム当たりのオブジェクト数が事実上無限でも、人物などのオブジェクトを以下のように効率的に識別するように設計されている。
Arm MLプロセッサとArm ODプロセッサの組み合わせにより、高パフォーマンスかつ高効率で人物の検知や識別を行うソリューションを実現できる。例えば、ユーザーは、スマートデバイスでバッテリーに負担をかけることなく高精度のリアルタイム顔認識機能を利用できるという。
「Arm NNソフトウェア」は、「Compute Library」および「CMSIS-NN」とともに使用され、NNに最適化されている。「TensorFlow」「Caffe」「Android NN」のようなNNフレームワークと、Armの「Cortex CPU」「Mali GPU」、Arm MLプロセッサを橋渡しする。
開発者はArm NNソフトウェアにより、Armのハードウェア機能および性能をフルに活用できるので、MLアプリケーションで極めて高いパフォーマンスを実現できるという。
ArmのIP製品グループ担当プレジデントを務めるルネ・ハース氏は、Project Trilliumについて次のように説明する。
「エッジデバイスへの人工知能(AI)の搭載が急速に進む中、コンピュート機能を進化させるイノベーションと省電力性の両立がますます要求されている。この要求に対応するため、Armは新しいMLプラットフォームであるProject Trilliumを発表した。新しいデバイスでは、こうした最新プロセッサが提供する高パフォーマンスのMLおよびAI機能が必要になっている。これらの機能と、プラットフォームの高度な柔軟性およびスケーラビリティを組み合わせることで、パートナーは広範なデバイスの可能性を押し広げることができる」
Project Trilliumは、2018年4月から早期プレビュー用に提供開始され、2018年半ばに正式リリース予定だ。
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