会社を出て、世界へ繰り出そう――マイクロプロセッサの魅力に魅かれたエンジニア出身のCEO、Simon Segars氏が提言する、シンギュラリティ時代のエンジニアの行動指針とは。
アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広が、グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うインタビューシリーズ「Go AbekawaのGo Global!」。今回は「Arm(アーム)」のCEO(最高経営責任者)であるSimon Segars氏にご登場いただく。
スマートフォンから自動車、スマート家電まであらゆる電子機器に組み込まれる半導体を設計しているArmは、IoT(モノのインターネット)時代に必要不可欠な技術を保有する企業として注目されている。また、2016年にはソフトバンクによる大規模な買収が話題になった。
同社のCEOが日本のエンジニアに伝えたいこととは?
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) なぜ、ソフトバンクからの買収のオファーを受け入れたのですか? 1番魅きつけられた理由は何でしょう?
Simon Segars(以降、サイモン氏) Armとソフトバンクの関係は既に10年以上になります。最初に孫正義さんにお会いしたのは、ソフトバンクがボーダフォンを買収したときでした(2006年3月)。その時のことはよく覚えています。マサ(孫氏の略称)はとてもエネルギーに溢れていて、Armに大変強い興味を示してくれました。ただ当時は、現在のような関係に発展するとは思いませんでした。
その後、彼の自宅に夕食に招かれ、IoT(モノのインターネット)に関していろいろと話をしました。翌週、彼から電話がかかってきて「この前はとてもエキサイティングな話ができて良かった。実はクレイジーなアイデアがあるのだが」と(笑)。
それから話はとんとん拍子で進み、契約書などの文書類もすぐに整えられ、2016年9月5日に契約が成立。全ては順調に推移しています。
阿部川 買収の前と後では何か大きな変化はありましたか? 例えば、あなたのマネジメントのやり方が変わるといったことはありましたか?
サイモン氏 Armは上場企業として既に17年以上の企業ですから、マネジメントのスタイルそのものが急に変わるということはありません。ただ、事業運営のスピードが速くなり、投資の総額が大きくなる、そして意思決定のスピードが速くなるという点では、状況は大きく変化していると思います。
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