「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ1118の詳細と使い方」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。
今回は「トレースフラグ1118」の詳細と使い方を解説します。
トレースフラグ1118は、単一エクステントを使用する設定です。SQL Server 2014までのバージョンに対応します。
SQL Serverのデータは、「ページ」という8KBの単位で管理しており、ページの中には1種類のオブジェクトだけを格納します。
さらに8ページをひとまとまりとした「エクステント」という単位でも管理しており、同じオブジェクトのページだけで構成されたエクステントを「単一エクステント」、オブジェクトが異なる複数のページで構成されたエクステントを「混合エクステント」と呼びます。
新しいオブジェクトを作成した場合、どの程度ページを使用するか事前に想定できないため、まずは空きのある混合エクステントを探し出してページを割り当てます。状況によっては空きのある混合エクステントを探す処理でボトルネックが発生する場合があります。ここでトレースフラグ1118を有効にすると混合エクステントからではなく、なるべく単一エクステントから割り当てるようになるため、ボトルネックが発生しにくくなります。
SQL Server 2016からはALTER DATABASEのSETオプションでMIXED_PAGE_ALLOCATIONの項目で動作が変わるように変更されました。SQL Server 2016ではトレースフラグ1118の効果はありません。
ページが割り当てられたタイミングで効果を発揮するため、スタートアップか、グローバルスコープで設定することを推奨します。
設定方法 | 可/不可 | 要/不要 |
---|---|---|
スタートアップ | ○ | − |
グローバルスコープ | ○ | − |
セッションスコープ | ○ | − |
クエリスコープ | × | − |
トレースフラグ 3604/3605 | − | 不要 |
混合エクステントから割り当てられたページはdm_db_database_page_allocationsという動的管理ビューのis_mixed_page_allocation列で確認できます。トレースフラグ1118を有効にせずに、新しいオブジェクトを作成する処理を実行すると、混合エクステントから割り当てられたページが158から4685へと大幅に増加しました(図1)。
トレースフラグ1118を有効にしてから、同じ処理を実行すると結果が大きく異なりました。混合エクステントから割り当てられたページが大幅に抑制されたため、空きのある混合エクステントを探し出す処理が少なくて済み、ボトルネックが発生しにくくなります(図2)。
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP for Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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